Jin Nakamura log

西国紀行_6

ながらく続けてきました西の旅紀行の締めは京都タワー展望台から大阪・兵庫方面を望むの圖で。ツレのオネエさまのたっての希望(泊まったホテルでタダ券をもらったので、というのが真相)でのぼりました。茜色に暮れようとする西空につい昨日の友人たちとのあわただしいサヨナラを重ね合わせてチト感傷的…いわゆる祭りの後症候群(?)というところでしょうか。とはいいつつもやはり旅はよいものオツなもの。そのうち芭蕉翁にならって吟行などやってみたいものです。そういえば最近誘われて始めたまったくお金のかからないオトナの遊び「句会」仲秋の巻の僕の投句などをついでに…。

「秋風に 消えようとする 飛行雲」

「十六夜の 琥珀に進化 とどめけり」

「吾も亦 紅なり君の ほほ染めて」

そんな感じカナ。

西国紀行_5

西の旅報告もそろそろ終わりに近づいてまいりました。さて京都ではフランスで活動してる友人のジャズグループ“ky”の仲野麻紀+Yann pittardに会いに。彼らが招聘されている京都精華大学でおこなわれるレクチャー講義に潜入。この大学はたしか日本で初めて「マンガ学部」が設置されたことで知られてるんじゃないかな。30年ぶりくらいに叡山電鉄(森見の小説によく登場する)に乗って精華大学前駅で降りるとそこはもう大学構内。久しぶりに大学というプチ治外法権な雰囲気を感じつつ怪しげなオッサン2名と同い年だけどオネエさま1名はさっそく腹ごしらえのため前途ある若者たちに交じって学食へ直行し1杯200円也の素カレーをかっ込んで午後一のレクチャー会場へ急ぐ。この度のメイン講師はMoussa Hema。アフリカ、マリのバラフォン奏者である。見た目と構造はいわゆる木琴であるが反響部分に瓢箪が使われていて、さらにその中にクモに巣を作らせ音をあえて濁らせていて興味深い。レクチャー後に構内で場所を移してkyメンバーらとミニコンサートを開いてくれた。やはり打楽器はココロ躍る。短い時間だったが素敵な演奏をありがとう!帰り際に購入したMoussa HemaのCDにサインをお願いしたのだがフランス語圏のひとには英語のアルファベット発音がほとんど通じず苦労した。JINは酒の名前だと言えばよかったか…。

西国紀行_4

再び西の国に想いを馳せて…。お世話になった方々・友人らにあわただしく別れをつげ次の滞在地へ。駅までの間、竹野町からいくつかのトンネルを抜けて豊岡市内へ向かう途中で数日間つながらなかったケータイの電波が通じるようになる。(現場はdocomo以外は電波塔が未設置のためつながらない)今時海外だって通話可能なのに…。だがしかし! 昨今「繋がろうニッポン!」みたいなコピーが幅をきかせているが、本当にそんなにいつもいつでもナニカと“繋がってる”必要があるのだろうかと常々思っている。♪会えない時間が〜愛育てるのさぁ〜♪…と郷ひろみも歌ってるではないか。光あるところに影あり!ケータイなくとも子は育つ!…よくわからなくなってきたが、とにかくたまにはそういうこともいいもんです。いずれにしてもナンカ異世界から現実世界に戻ってきてしまったような不思議な気分でした。さて豊岡駅にて乗車直前この地方の県民食(?)「へしこ」(サバ・イカなどをぬか漬けした保存食、酒のつまみに絶品なり)を駅前のスーパーで地元住民のようなフリをして購入し(地酒「香住鶴」のワンカップも忘れず)特急「きのさき」京都行きへ乗り込む。

TOPOS_花蔵

西国紀行の途中ですが、ここで一旦長野の話題を。多忙を極めた(現在も進行中であるが)10月の締めくくりとしてTOPOS花蔵が本日から(11/6まで)開催。木村仁+たかはしびわ+吉村正美+ナカムラジン/企画プロデュース・町田哲也FLAT FILE_TOPOSも同時開催中。なかなか個性的な面々がそろいました。TOPOSとは“場所”の意。古来北信濃の信仰の聖地定額山善光寺界隈での企画展にちなみ、西国紀行(写真)でもご紹介した[bodhisattva-如意]のドローイングを。脇侍に「海幸講」と「観月紀」といった構成。お近くの方は是非。

西国紀行_3

つづきまして今回初参加の建築家・縣教室と映像作家・藤原教室の画像です。縣氏は境内アートでもおなじみ、「茶室プロジェクト」にてジュニアとともに参加。今回もエセ茶人ぶりを存分に発揮し、まったりとした空気を竹野に運んでくれました。一方藤原次郎氏はその田園風景が広がる豊岡市竹野町と、フィンランドの伝統的な生活文化が息づくハメーンリンナ・ハウホ地区を撮影した共同制作映像詩『いつもの風景 Takeno-Hauho(タケノ-ハウホ)』がドイツの映画祭『ワールドメディアフェスティバル』で金賞を受賞している…というような実はスゴイ人なんだけれど、とっても気さくなオッチャンで昨年以来仲良くさせてもらってます。西国で生き抜くコツ(オバチャンたちのオモチャになる!)も伝授していただきました。ナルホド〜。

昨年から続いて参加しているもう一人、神林教室です。今回のテーマは“おさかなランド”…ではなく「水柱」だそうです。お題はともかく相変わらず彼の掌(タナゴコロ)から生まれるブツは今年も老若男女問わず大人気。「これでいいのだ!」ってピュアな気持ちが伝わってきますね。

“ランナーズハイ”ならぬ“トラベラーズハイ”のまま日常への順応作業をすすめている。さてそんな中、今日からすこしづつ旅の報告をしていきますね。まずは今年の展示風景から。昨年の「旅するハコ」から一転して「田んぼアート」を借景に二人の菩薩に対峙してもらって静かな空間になってます…かね…。

「…日々旅にして旅を栖とす」と記した芭蕉翁ほどではないものの、自分が図らずも生み出してしまったナニガシカのブツを携えてノコノコとあちらこちらに出かけていっては、そこで思いがけずたくさんの人と縁を結ぶこととなり、時にこころ躍り、時にココロ焦がし、また癒し癒され…そんなことを繰り返している。紀行冒頭「月日は百代の過客にして…」は、ことさらどこか遠方に赴くということでなくとも、日々暮らす人生そのものが旅であると説くものと理解しているが、やはり“そこ”に行ってみなければわからないものは確かにある。一見同じような山河でもやはりどこか異なる気配を漂わせ、当然住まう人々はその風景の中に馴染み、旅人として郷に入った当初は自分自身もなにかしらよそよそしいものであるが、3日も現地の空気をすって、そこに染みだす山の水(酒も…)を飲み、土地のものを食い、伝わる言葉を聞き続ければ我が身の何割りかはすでに“そこ”のものに入れかわっているような気さえしてくる不思議。

そんなわけで今年も行ってまいりました、西国巡りの旅。順次報告していきましょうね。*写真は兵庫県豊岡市竹野町桑野本の里山と田園風景+そこに広がる田んぼアートです。

bodhisattva-弥勒

現在兜卒天で修行中といわれる梵名マイトレーヤと言われる菩薩を描いてみた。なぜふいにこの菩薩を描こうかと思ったのか定かでないが、たまたま今日本棚に積まれている1960年代に発表された光瀬龍のSF小説『百億の昼と千億の夜』を萩尾望都が漫画化した1冊を見つけパラ読みしていると、出家したシッタータ(釈迦)が阿修羅王(なぜか少女である)と会うことを決意し、その後「弥勒」による“救い”の真相を確かめるため連れ立ってTOVATSU-Cityの地下へ…というシーンが。結局「弥勒」が何者かというこについては兵庫から戻ってからちゃんと再読してみたい。

というわけで明日から兵庫・豊岡です。なんとなく描いてしまった[bodhisattva-弥勒]は会場の大森小学校に新幹線に乗っていっしょに来ていただきます。来年早々の2人展ではもう少し存在している世界観を明確にして着彩して仕上げたいと思ってます。

いろいろいろ

まったく芸もなくひねりもないタイトルが示す如く10月は余裕のない日々が続いている。まず2日「アートに泊まろうプロジェクト」志賀高原・ホテルジャパン志賀プレ展示。3日は先に報告した通り中之条ビエンナーレへ。8日:信州諏訪酒造メーカー五蔵主催による「上諏訪街道呑みあるき」に参加(これは日本酒好きにはタマリマセン!ホコ天でもないのに500Mほどの国道にぐい呑みを片手にした酔っぱらいがあふれます)。続いて9・10日:第二回追分ホンモノ市(写真参照)に参加。今年は軽井沢追分宿の歴史遺産・旧脇本陣「油屋」新館と旧館の一部+庭を会場として2回目とは思えぬほどの盛り上がりをみせました。*「油屋再生プロジェクト」についてはコミッティーとして参画することになったので、こちらは追々新規サイト(制作中)等で経過をご報告していく予定です。その間に渋谷円山町irodoriya.さんにて紋様解体新書・うつわ展を開催中。14・15日は会場へ。合間を縫って2012年度脇田美術館キッズワークショップ及び境内アート東京事務所企画会議。で、今週末は兵庫県豊岡竹野町のアートイベント「三原谷の風まつり」参加。現在インスタレーション作品制作中…なんとか間に合うか…。そのあいだに句会に参加することになったので選句・披講などもしてたりして…ホントいろいろでしょ。