Jin Nakamura log

現場

立冬が過ぎ、3日前に降ったという雪は残っていたものの標高1500Mを越える奥志賀もこの季節にしては暖かく少々拍子抜けした感はあったが雪道の運転しなくてすんだのは助かった。それぞれの作家が概ね1週間の制作期間をとっているが、僕らのチームNAKAMURAKE/ナカムラジン+HAL+MOABE EDITIONは“段取り9割り”の制作コンセプトのもと、入山から2日間で仕事の95%を終わらせ19日午後8時前にはホテルの風呂をいただいて一旦下山する。もっとも実際にその9割りの段取りのほとんどはMOABEの水上氏が組んだものであったが…。下界(といっても僕の住んでるところもそんなに標高の差はない)で別の仕事を進めた後、僕は明日にでも残りの5%(案外ここが大事)を仕上げるために再び高速と山道を1.5時間車でとばして再入山する。先ほどベースキャンプに残る女性作家の一派から彼女らの美容と健康を守るため、途中プレーンヨーグルトを購入してくるようにとの重要なミッションがケータイメールに入る。さて制作現場の詳細はまたさらに報告するが以下さわりをご紹介。

res.

コメントにレスついでに本文にて…。そうですね、「Fight!」は中島みゆきさんの曲です。何人かカバーしてるようですね(竹原ピストルさんのもいいです)。それにしても拓郎さんも昔から聴いてますがだいぶ雰囲気変わりましたね。いい感じのオッチャンになってるなぁ。いろんなものを抱えて彼もある意味スーパーサイヤ人に覚醒した類いじゃないでしょうかね。それにしてもYouTubeのコメントにもありましたが最後に出てくるバックのベースの人インパクトありすぎ。絶対DRAGON BALLに出てきそうなキャラだな。亀仙人にしては頭髪長いし、どこかの界王さまかしらね。

明日からホテルをアートで改装するプロジェクトで志賀に上ります。東京・新潟・兵庫・沖縄から16名のアーティストが集合です。雪降ってんのかな…。もう数日前から長野県北部の降水確率はすべて「雨か雪」という表示に替わっています。

Fight!

前から気になってたんだけどYouTubeの動画アップするの、やりかた教えてもらったんでやってみる。昨日からの引き続き“哀しみの戦い”つながりで…こんな曲。iPodに入れたいけどiTunes storeでは短い編集版しかないし、CDになったりしてるのかな…。

セツナサとカナシミ

仏教には“幸福”という言葉は無いらしい。この言葉はありがちな話だが明治期に西洋の文化・言語が日本に入って来た時に“happiness”にあたる言葉がなく強制的に造語されたとのこと。そのルーツをたどれば胡散臭さがなくもない。一切皆苦と悟った仏陀が「とは言いつつも…」ということで求めたのは、だから“幸福”ではなく“安・楽”ということ。“ハッピー!”ではなく“リラックス”なのだそうだ。一応今は日本人なので感覚的にわかるような気がする。“幸福”を求めたらキリがないような気がするけど“安・楽”だったら「ま、いいか…」って感じ? そうは言っても煩悩や欲は文化を生むし、もし「ま、いいか…」って悟っちゃったりしたら僕は絵を描かなくなるかもしれない。“煩悩即菩提”と自分に言いくるめたいところ。セツナサやカナシミをリラックスして乗り越えられたさぞかしスゴイんだろうけど…そもそも“乗り越えよう”とする発想がまちがってるのか。ケンシロウは“哀しみ”を背負うことで、過去二千年の伝承者の誰もが会得できなかった究極奥義「無想転生」を極めラオウと対峙する。悟空は穏やかな心を持ち、強い“悲しみ”にさいなまれてスーパーサイヤ人に覚醒した。しかし彼らは果たして“カナシミ”を乗り越えたのだろうか。戦いはその後も延々と続く(それぞれ最終回までジャンプを買い続けたので僕は知っている…)。う〜ン…ムツカシイ…やはり秋は物思いにふけってしまうものなのかな。

雪虫

「ゆきむしが飛ぶさびしい季節だね…」大学時代農学部の友人のつくった一編の詩の書き出し。今どき“詩”をたしなむ…などという学生などいるのだろうか。もちろんその頃だってずいぶん珍しい男だったが(ちなみにフランス人の男子は思春期に一度はハマるらしい…一応フラスン人から聞いた)。障子紙のようなものに朴訥な墨の筆でしたためられた彼の詩がなんとなく気になり頼み込んで貰い受け、オトナになるまで大切に持っていた。詩人・中原中也が好きだった彼は30代半ばでかわいい奥さんと小さな子どもを残して急逝する。遠方だったため葬儀には間に合わず後日自宅に焼香に伺ったさい、共通の友人でもあった彼の奥さんに渡すべく、大学時代に彼が書いたその詩の紙片を持参した。和紙は十数年の時を経て少々黄ばんではいたが二十歳前後のピュアな感性は色あせずそこに刻まれていた。僕は“ゆきむし”というモノも言葉も彼の詩を読むまで知らなかった。北国の言葉らしいのでどちらかというとあたたかい地方の彼よりも僕の方が知っていてもよさそうだったのに。

今日“雪虫”を見た。そしてたぶん毎年その季節になると彼のことを思い出す。

そんな思い出に浸らずともたしかにこの季節はどこかセツナイ。しかし最近ハマってる養老先生にかかるとこの手の感情…例えば愛とか恋とかも全て身もフタもない話になってしまう。恋はビョーキと看破する。結婚すれば治るんだと…それができれば皆さん苦労はないのだが、どうも医者はとりあえずなんでも治療したがるってことらしい。そのままでもいいのに。[recently books]「脳と魂」対談/養老孟司+玄侑宗久

studless

例年に比べてかなり早いんだけどスタッドレスタイヤにはきかえる。来週より制作が始まる“アートに泊まるホテルプロジェクト”のため、いつ降っても(雪ですヨ)おかしくないという志賀高原に登らなくてはならないのです。1970年代あたりに建てられたであろうホテル旧館の各客室をアーティストがなんとかしちゃおう…という企画です。Jin’s roomはモアブ・エディションの全面的な協力(代表で職人の水上さんが刷ってくれます…感謝!)を得て壁に直接CMYKプロセスカラーに分版されたシルクスクリーンを刷っていきます。制作風景はちゃんと記録しておきますので後日報告。プランはこんな感じ。

応募要項

毎年四月恒例の「境内アート」(2012,4/21+22)、近々募集が始まります(現在要項制作中)。本来なら11月11日募集開始なのですが、今年はギリギリまで企画内容の検討が続き多少遅れる見通しです。関係各位にはご迷惑をおかけしますが、これも手づくりのイベントながら少しでも良い発表の場を作れればとの実行委員会スタッフ一同の想いの現れと、ご容赦くださいませ。とはいっても11月末には要項発送が完了するものと思われます。あわせてサイト応募も解禁となりますのでそちらもご利用下さい。いずれにしましても詳細がわかり次第告知いたします。

山麓帰郷

2日で戻るつもりがやはりムリか…結局3日間留守にして山麓に戻る。いつものことだが標高にして1000M近い移動は気温差ありすぎ!特に7日の都内はこの季節にしては異常なぬるさでありT-シャツでも過ごせそうな(事実皮下脂肪の多そうな人はそうしていた)陽気で季節感絶対オカシイ。それでも山麓はきっちりと寒く、秋の深まりは確実。さてミラボオ1周年記念展に急遽組み込まれた3日間だけの特別展、初日たくさんの方々にお見えいただき感謝です。3月までには課題も山積みですがなんとかしなきゃね。

さて[recently books]をこのところアップしてこなかったのでここでまとめて。これは自分のために記録を残してます。読んだ本のタイトルを忘れちゃう)「薬指の標本」小川洋子/「伏 贋作・里見八犬伝」桜庭一樹/「裏閻魔」中村ふみ/「男女(オスメス)の怪」養老猛+阿川佐和子/「人形作家」四谷シモン/「私と直感と宇宙人」横尾忠則/「百億の昼と千億の夜」光瀬龍/「百寺巡礼・奈良編」五木寛之/「仏教が好き!」河合隼雄+中沢新一…こんなところかな、やっぱりなんか忘れちゃってるのもあるような気がする。ま、そういう本はあまり身になってないんでしょうね。そんな中で気になる1冊は「仏教が好き!」河合隼雄+中沢新一。図書館読書週間企画10冊まで貸出しOK!ということでつい手に取ったもの。タイトルが軽い(装丁も、しりあがり寿でさらに軽い)のでホントに軽い仏教ブームに乗った啓発本みたいなのかなと思ってたらさにあらず。それなりに平易な雰囲気に編集されているようなのだがなにせ二人の智の巨人の対話集。宗教学・心理学の聞き慣れない専門用語がバシバシ飛び出し(なので注釈の量がハンパじゃない)僕のような凡夫にはちょっとキツい側面もアリ…なんだが、かれらが大まじめに語れば語るほどまたどこかユーモラスで(たぶんとても発想がユニークなんだと思う)ムツカシイんだけど引き込まれる。下ネタで恐縮ですが「釈尊と弟子のセックス問答集」の項目は笑える…というか古代インド人のそっち系の妄想力には唖然とします。仏陀も冷静に対応していたようですが本音は「おまえらエエカゲンニセェヨ!」ってことでしょう。とにかく今週のオススメ(来週があるかはわかりません)です。

美場テラソ2011_vol.4

今年度第4回目、美場テラソ講座・リトグラフ—植物を使って…(講師:近藤英樹/版画家)。今回は参加者15名中男性はお一人、ということでなんか女子会みたいな感じでそれはそれでよっかたです。。採集した植物を転写して製版ということで美場始まって以来のフィールドワークからのスタートとなりました。実際の工程などは近藤氏のブログにもアップアされてますので参照ください。…それにしても3時間15名のリトグラフ講座はチトしんどかったかも。近藤氏も初めてのことだとか。でもなんとなっちゃうものね。次回は来年、本濃くんのダンボールアート講座です。僕は明日からミラボオ特別展のため東京です。

特別展示 「三人展」◎神林 學・ナカムラジン・生井 巖 2011年11月8日(火)~11月10日(木)えすぱすミラボオ(神楽坂)が開催します。来年出展が決まったアートフェアのシュミレーション展示という位置づけです。もちろん一般公開もしますので3日間で短期間ではありますがタイミングが合いましたらお出かけください。GAKU氏とは何度かご一緒させてもらってますが日本画家・生井氏とは今回が初めてのコラボとなります。尊敬する作家の一人でもありますので貴重な経験となるでしょう。といっても時間の限られた中でのシュミレーション展なので僕は50号サイズのデジタルプリント2点(bodhisattvaシリーズの一応新作ではあります)は持っていく予定。+明日11/5は隔月恒例の美場テラソ・アーティストワークショップです。今回は近藤英樹氏によるリトグラフ講座/以下講師からの内容紹介/リトグラフは絵を描くことにより版をつくるユニークな版画技法です。油性の描画材で絵を描くと版にすることができます。ただ絵を描くのはペンや筆だけとは限りません。今回のワークショップでは植物そのものを使って描き、版を作って頂こうと思います。まず身近な植物を採集しに行くことからはじめ、その植物を版に転写することでリトグラフを体験していただきます。紙には色を使って刷っていこうと思っています。浮かび上がる植物の形は普段気付かなかった景色を見せてくれるかもしれません。/当日参加も若干可能かと思われます。興味のある方は是非!