Jin Nakamura log

初冬の句

初冬の句会。ナカムラの投句は以下三句です。

「さむ風に てぶくろの中 にぎるゆび」

「漆葉の 朽ちて深紅は 過去世こと」

「冬蠅の 傍若無人に 振る舞える」

いきなり解説を添えるのは野暮というもの。ネタばらしは後日1週間後くらいに。覚えていたら…

女性5名+男性2名のネット句会なのです。住まうところも遠く離れ、なので季節の感じ方もさまざま。詠み人の暮らす風景など想像をしながらメールで送られてくる17文字を読み解くのは楽しくもあり、ちょっとだけスリルもありますね。「想像する」というと聞こえはいいですが時として「妄想する」とも言えなくもない。もしかして本人にはまったくそんな気はなく詠んだ句にも妙な艶っぽさを感じてみたりして。半分くらいの人はお顔も知らないのに当句会の主宰のご縁でつながってるわけで、そんな方々にたった17文字とはいえココロの内を吐露する言霊を送るわけですからちょっと不思議な気分です。「俳句」という言語でつながる日本的でマニアアックで最小単位のSNSってところでしょうか。

油屋プロジェクト

今年10月に軽井沢町追分で開催された「ホンモノ市」の舞台にもなりました中仙道追分宿旧脇本陣油屋が前身の「油屋旅館」を保存活用する「油屋プロジェクト」が来春オープンに向けて着々と準備がすすんでいます。当面は本+アート+クラフト+カフェあたりを運営の柱にして展開していく予定。ベースの建物が旅館であるためレジデンスあるいはバックパッカーズのような簡易宿泊施設としての活用も検討中。ナカムラも諸々の成り行きでコミッティに参加することとなり、やるからには本気モードでという展開で主にアート部門担当の運びとなりました。プロジェクトの正式名称は年内には決定し、年明けからすぐにCI+サイト制作に入ります。できるだけ早めにメイキング履歴も含めて企画内容等もそこで告知していきますのでお楽しみに。以上現状ではかなり漠然とした情報で恐縮ですが、この件につきましてお問い合わせ等ありましたら当サイトコンタクトメールにてご連絡下さい。軽井沢町追分からの文化の創造と発信に興味があれば現地見学も可能です。

Library of the Year

アーティストワークショップ「美場テラソ」でお世話になってる長野県小布施町(境内アートの町ですよ)の町立図書館「まちとしょテラソ」が「Library of the Year 2011 」大賞に輝きました!すばらしいですね〜。「交流と創造を楽しむ文化の拠点」とスローガンを掲げることは簡単ですが、なんとなく実践してしまうところが小布施らしいですね。もともとこの町は“前例がない”こと大好きで、“だれもやってないんだったら、やってみりゃいいんじゃない…やって考えましょ”って気風がありますね。で、案外それが失敗しないのね…少なくともそう見える。はやり当事者たちが楽しんでる感じがいいんでしょうね。ホント微力ですが「美場テラソ」もそんな楽しさの一助になっているのだとしたらうれしいですが。設計段階で無理言って多目的室に流し台作っといてもらってよかったナー。で、で、来年早々に受賞記念祝賀会開催の運びとなり急遽記念の“引き出物”を制作することになりました。たぶんテラソくんがプリントされてるPOPな何かです。当日までのお楽しみにしときましょうかね。追々ライブラリーショップでグッズとして販売していくことになると思いますので制作完了しましたら画像にてお知らせします。にしても時間がない…また一つ課題が増えちゃいました…だいじょぶか…。

感想文

「阿弥陀仏」を礼拝するお寺が1つの舞台になっているので、著者の「僧侶」という経歴は宗派としては真宗系なのかなと推測されるが、登場人物の浄鑑という住職(著者自身なのかもだが)はかなりクールな宗教観を保つタイプ…言い方を変えれば日本的仏教というよりはインドで産声を上げた原始仏教に近い感覚を持つ宗教家として描こうとしているようだ。ホラーサスペンスという設定上、起こりうる超常現象をいちいち釈迦の「無記」の思想(死後の世界があるかとか、魂はあるのか…ということにつて何も語らなかった…というようなことですね)に時にストイックなほどに寄り添い、でも真摯に対処しようとする姿勢を貫く。しかも自分の納めてきた宗派…おおざっぱに言うと「顕教」の理念に添って。中坊のころからの密教好きにとっては、そのあたりは実はとても新鮮であった。魔を折伏させるために護摩を焚き、印を結び、真言を唱える…というような密教的な所作はいかにもサイエンスフィクションでカッコいいので多くの作家がそうしたエッセンスをわりと安易に筋書きに取り込む例は多いが、そういう意味では比較的地味な「顕教」をベースにしてるところが、その日常というか生活感かえってリアルな怖さを醸しているような。「密教」はSF、「顕教」はホラー…とういうところか。以上ずいぶんマニアックなところにひっかかった読書感想文でした。しかしこれではまったく内容がわからないので詳細は書評を→「アミダサマ」沼田まほかる・著(新潮社)

*先日、本焼きした酒器(ぐい呑み)の上絵付け作業がやっとおわり夕方から上絵焼成(800℃弱)に入る。明日未明には予定温度に達する。15日くらいには展覧会場に発送できるか。

境内アート2012

当サイトでの告知を正式にしてなかったですが、12/1より境内アート2012(4月21日/sat・22日/sun◎長野県小布施町)の募集が開始されています。今回も先着順となっておりますので早めのお申し込みを!今回は昨年好評だった境内剣道場を壁面を活用できるかたちで16ブースご用意いたします。平面作品を壁面展示されたい方などぜひご利用ください。禅寺境内で当初20名のアーティストで始めたフェアも会を重ねて9回目、現在毎年150名近い作家のみなさまのご参加をいただいております。来春4月、北信濃桜満開の頃、どのようなアーティスト・作品に出合えるか今から楽しみです。もちろん今回も来場者・作家の皆さんの投票による「境内アート選抜展」(おぶせミュージアム)も開催いたします。お楽しみに!*ステージパフォーマンスやおいしいお食事やカフェなどでのご参加も大歓迎です。*まちとしょテラソ企画「一箱古本市」+参道での骨董市も同時開催。

2曲

iTunes Storeをうろうろしてたら結局この2曲にたどりついた。「ひとつだけ 」(矢野顕子+Guest Artist: 忌野清志郎)+「中央線」 (矢野顕子+Guest Artist: 小田和正)どちらも最初から探していた曲ではなかったがなつかしくなってつい…。そういえば清志郎氏がまだおかっぱだったころ初期のRCサクセションの名曲「ぼくの好きな先生」は学校のなかで浮いてる“僕と美術の先生”のことを歌ったもので、歌詞のとおりの世界がリアルに自分のまわりにもあって好きな歌の1つだった。当時だいたい学校という閉じた社会で問題を起こすのは美術か体育の先生だったような。美術はエロ系、体育は暴力系?…といった具合で。どちらも度を越すと問題有りだが昔はそんなエッチっぽい先生とかコワ〜イ筋ものの先生とか必ずいて、ま、生徒にしてみれば多少迷惑な部分もあるのだがそうした胡散臭さも含めて妙な魅力を醸し出す人間的な先生に興味津々であったりしたものだ。

中央線」の歌詞のような女の子とつきあったりしたら大変だろうなとも思いつつ、こちらも問題先生同様ついつい地雷踏んじゃうというかそういう危なっかしいものに手を出したくなる愚かな衝動はわからなくもない…ていうかよくわかる。歌を聴きながら80年代に撮られた映画「時代屋の女房」を思い出した。ある日古道具屋にネコが居着くみたいに住みついた不思議な女性と亭主の恋物語。店の売り物だった「涙壷」を20代半ばの夏目雅子が自分の左目におしあててみるシーンは印象的で美しかった。アイドルとか女性の写真集というものを買うことはまずないが彼女の写真集を見つけたときつい目がくらんでうっかり購入してしまった。その数年後に彼女は急逝する。まったくこの世に永遠などというものはないことを思い知るわけだ。

この後は珍しくもなし冬景色

昨日からの湿った空気は気づかないまま未明から雪にかわっていたようで…。すっかり畑仕舞いがすんで整地されたレタス畑が白くおおわれ、これからはこんな風景も珍しくもなくなる。

starting line

下地+下絵がやっとできた。ここまではまずまずなんだが問題はこれからだな…。生来のイイ加減さを悔い改める時がきたということになるか、はたまた結局「こんなんでイイんじゃね…」ってなっちゃうか、やってみなくちゃわからない。いずれにしてもあまり萎縮せず描いてみたいけど。さて、来年出展が決まっている「アートフェア東京」(2011,3/29:内覧会、30〜4/1:一般公開)事務局よりの関係書類一式がギャラリーから届く。本来の制作とは別にこの年末年始あたりにクリアしなければならない諸々の事務的処理も同時進行で続きそうだ。今日は1日中霧の底のような天候で朝からまったく気温が上がらなかった。霧の風景もたまには幻想的でいいけど、さすがに終日だと少々気も滅入る。でもがんばってダルマさんみたに着膨れしてお散歩はしたけど。

下地

[bodhisattva-如意]のパネル下地+背景色のシルクスクリーン工程に立ち会う(制作:モアブ・エディション)。背景に関しては筆あとのない均質な面をつくりたくて今回の依頼となった。6回ほど塗り重ねてもらってるが、パネルの木質感が思ったより白地の裏側に感じ取られ想像したような無機質感には至らなかったが、それはそれで面白みはあるので良しとする。無機質感への挑戦は次回への持ち越し課題となる。何事もアタマで考えてるようには進まないものだ。

books+exhibition

Eテレテキスト「仏像拝観手引き」…東京藝大の文化財保存学(同大学院保存修復彫刻研究室)の一木造り・寄せ木造り・脱活乾漆像の模刻制作過程が写真解説されてるの発見、即買。国立のしかも一応我が国芸術教育の最高学府の研究機関なのだからあたりまえのことかもだが、その恵まれすぎた研究・制作環境は羨ましい限り。国宝級の仏にさわったりできる特権とか与えられてるのだろうか…いいな。さて師をもたぬアウトローな造り手としては定朝以来の正当系譜をめざすか、下野遊行の円空・木喰的スタイルを探るか…ま、たぶんそのどちらでもないんだろうが最終的にはなんとか仏師としての仕事を残したいところ。

アミダサマ」沼田まほかる・著…初めて読む作家。タイトルにチトひっかかったてのもある。著者の主婦・僧侶を経てってplofileにも興味有り。一応カテゴリーはホラー・サスペンスということらしい。

明日から先日本焼き焼成した酒器の上絵付け作業に入る。

「第8回 クロッキー展」参加・ギャラリー 悠玄(東京・銀座)12/5(月)~ 12/10(土)11:00~19:00(最終日17:00まで)◎「クリスマスポケットアート展」参加・えすぱすミラボオ(東京・神楽坂)12月7日(水)~12月17日(土)◎「ART POTLUCK 2011/クリスマスギフト展」参加・元麻布ギャラリー佐久平(長野・佐久)12/8(木)~ 12/23(金)11:00~19:00(最終日・クロージングパーティー17:00〜)◎「アヴァンギャルドクロッキー展」参加・えすぱすミラボオ(東京・神楽坂)12月20日(火)~12月26日(月)…ってダイジョブか?…