Jin Nakamura log

中秋の句

地に惹かれ落つ若栗の成行きに

目の前で青毬の栗が落ちたんですよ。とはいってもアイザック・ニュートンさんみたいにそこに科学を感じたわけではなく、ただただ、あーそうだよね~、そうなるよね~…って。落ちることが不吉に思ったわけでもなく、栗が簡単にゲットできてラッキーと思ったわけでもなく、それでイイんじゃね、ってさ。

片鱗をみせてみようか秋の空

秋の大空を埋め尽くすうろこ雲をみてたらなんとなく。全部見せろといわれたらチト困るけど、片鱗くらいならなんだか見せられるような気がしません?

年下の父の遺影や秋彼岸

気がついたら父の享年を越えていた…ということではないのです。彼が他界したのは本人が40代前半なのですでに10年ほど父を越えて生きてることになり、もちろんそのことは承知してました。問題は遺影です。高校野球のお兄さんがいつまでたっても自分より大人びて見える…あんな感じかな。昔のことなんで旬な遺影撮影などしていたわけもなく、亡くなった時よりもさらに若い頃のものだったはず。なのに未だに自分より年下の人には見えない不思議。なんでだろ…。

2人展だったんだろね?…DMをデザインしてるときから「アレ?」って。芸風もちがうしさ、少女と仏画だしな、しいていえば共通点はヒトガタ?…てそれもおおまかすぎるだろ。で、搬入時に今回の相方に聞いてみたところ(いまさらそれもどうかと思ったが)判明した理由は…そうだ企画者がじつはいたんだった。TOPOSディレクターM氏、忘れてた。数年前に場とアート表現をコンセプトに始まったTOPOSプロジェクト。その中のコラボ企画の一つとしてヤツが組んでいたのだが予定していた会場がなくなっちゃって企画は自然消滅。でもせっかくだから別んとこでやる?(この段階から僕らの自主企画)ってなってミラボオ、だったわけです。

てなわけで相も変わらずすべては忘却の彼方へ。でもまあいいんです、きっかけなんてなんでもさ。相方は震災以来再びちゃんと絵を描くことと向き合えそうな気配にたどりついたみたいだし、僕も3ヶ月もかかったけど菩薩を1枚なんとか仕上げることができたわけで。そうやって歩き始めた理由は忘れちゃっても、今歩んでる事実はココにある。過去も未来も無く今がある幸せってあるよね。刹那的って大切なことですよ。

会期中会場に足を運んでいただいた皆さまありがとうございました。先週搬入時かるく放射能鬱を罹患したと持ってましたがやはり調子にのりすぎた飲み疲れによる肝機能低下と判明して(自己判断)よかったです。さてこれからどうしましょう…とりあえず描き始めた弥勒を仕上げ、薪を割り、油やプロジェクトもいよいよ暖気運転終了、沙庭も来期に向けていろいろたくわえないとだし、境内アートもいよいよ10周年に向けて募集開始。そうそう、明日と来週はVIVAテラソも続くのです、とかとかね。お〜だいじょぶか…

bodhisattva 如意 2012/photo:Torico Printmaking Studio/Naoto Kimura

会場風景

搬入+初日+二日目から浅間山麓に戻るや全くの思考・行動不全に陥り、ぼくはコレを都下に滞る超化学物質に起因する放射能欝と命名し、クマのプーさんの如く「ぼくは何もしないをしてるんだよぉ〜」などとはさすがにつぶやかなかったものの、結果無為な二日ほどを過ごすことになった。しかし今思うにそれはこのたびの2人展直前の沙庭ギャラリートークパーティーより一日も欠かさずに続いた無節操な酒びたりの日々に因る単なる飲み疲れだと気づき、以後物忌みよろしく謙虚に肝臓を休め続けている。

というわけでアルコールもカラダからだいぶ抜けてきたところで開催中の展示会場風景などアップ。やっぱイイジマさんの絵はええわぁ〜

tamayura

NAKAMURA Jin+IIJIMA Yoko Exhibition [tamayura]
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10/16(火)〜25(木)11:30~19:00(最終日~17:00)
10月16日(火)は17時からオープニングパーティを開催いたします。
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ナカムラジンは永く内にとどめたBuddhismArtに向き合おうとする。
いいじまようこは一貫して少女たちのその切なき眼差しを描き続ける。
玉響◎連綿と続く時の中でヒトガタはタマシイの一瞬のイレモノ…
そのたまゆらのごとき一瞬に彼らが何を想い何を描くのか。
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えすぱす ミラボオ            
〒162-0825 東京都新宿区神楽坂6-36-1 神楽坂ビル2F
TEL/FAX:03-6228-1884
E-mail:e.mirabeau@gmail.com URL:http://espace-mirabeau.blogspot.com/

初日

「Lithograph-Black & White 5-Artists 2012」いよいよ本日からです。5者5様、五人五色…なかなか見応えのある展覧会となっております。是非お出かけください!加えて常設コーナーリニューアルでイイ感じ。で、明日7日+8日は油やプロジェクトメイン企画「ホンモノ市」ですよ〜是非こちらもおみのがしなく!!!

Nausicaa of the Valley of the Wind

記録をみると30年前に月刊アヌメージュに掲載が始まったとある。おそらく宮崎駿氏が手掛けた最初のコミックなんじゃないだろうか「風の谷のナウシカ」。今さらと言われそうだが初めてそのコミック版を読む。映画の絵コンテ版みたいなものと思ってたのだが全くちがうのね。本には読み頃というものがあるが、この作品もそうなのかも…と思う。

映画はコミック全7巻のうちほぼ1〜2巻までの内容を再構成したダイジェスト版だったようで宮崎氏も語り尽くせぬ多くを呑み込んでかの映画作品をリリースしたことだろうと察する。物語りはいつも果てしなく、物事はそう単純ではないということだ。映画でももちろん片鱗はみせていたがそれにしても不思議な主人公であるな。彼女を通して宮崎氏の見えていたもの、感じていたものが瑞々しく伝わってくるようだ。

未読の方ほんとオススメ! あるいは今の時代に読むべきかも。

初秋の句

いよいよ秋も本番。ということですでに投句してました拙句。今回は自句解説付。

まどろみて月の5センチ動きけり

5センチという数字が正しいかと言えばそれはウソですが、ま、ウトウトの間に自分基準の目測で窓ガラス上ヤツの移動した距離はだいたいその程度かと。いつも思うんですけど月の軌道って僕、まったく把握してません。なにしろ自分が寝てる間ですからね、もしかしてジグザクに動いてたりとかさ。月ってなんか正体不明ですよね。

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日暮の音に祈りの永きこと

諏訪大社上社に夕暮れ時、参拝したときの風景です。ひとけの少ない境内で男女が寄り添って尋常じゃなくなが〜くお祈りしてました。ホントもうかたまった感じ。いつ動くんだろとしばし観察してましたが根負けして帰ってきちゃった。最近「祈り」と「願い」のこと考えます。ずっと自分のことばかり願っていたなーと思います。自分以外の人の幸せを願ったら少しは祈りに近づくのかな…とも思います。まだまだ修行がたりないのですよ。

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正論を吐けば気まずき秋の風

そういうことあるでしょ。正しいこと言やあいいってもんじゃないんですよ…ってまあそういう失敗をかさねてきたわけですけど。というより今となってはそもそも自分が正しかったのかさえも十分あやしいけど。それでたどりついた座右の銘「逆らわず いつもニコニコ従わず」(受け売りですけど+以前も書いたけど)。いいでしょ、このイヤらしい感じ。仲良くね、でもしょーがねーな…って相手に自然にあきらめてもらう。尖閣問題などもできればそんな感じでネ。

油やプロジェクト本館1F油や回廊「ART PROJECT 沙庭」では本年度締めくくりの展覧会として10/7〜11/4まで5人のアーティストと1人のリトグラフ刷り師による協動企画「Lithograph-Black & White 5-Artists 2012」を開催します。
リトグラフ刷り師◎梅田明雄(梅田版画工房
イメージサイズ62×73mmのリトグラフ刷版に作家が直接描画し、刷り師が一作づつ丁寧に製版し10部限定の版画作品に仕上げます。画家・イラストレーター・造形作家等それぞれのジャンルで活躍する作家たちの個性的な表現と版画作品の魅力をお楽しみください。
10/13日(土)4:30より
上記参加作家+刷り師の梅田明雄氏によるアーティストトークを交えたギャラリーパーティーを開催いたします。
*パーティーのお料理担当は9月のお食事会でも好評をいただきました参加作家のひとりで料理人でもある玻那さん担当(油や回廊内「追分料理屋・蝙蝠共催)
*当日同じく油や回廊内スタジオトリコさんのご協力により今回のリトグラフ制作の記録映像も公開いたします。
 会場は沙庭+Torico Printmaking Studio同時開催予定。
【当日スケジュール】
4:30より映像を交えたアーティストトーク(30〜40分程度/参加自由・無料)
5:00過ぎよりギャラリーパーティー◎会費:2,000円(お料理+1ドリンク/定員20名程度/ご予約の方のみ)
*お酒はお好みで持ち寄りOK(というか大歓迎!)
*昭和の文豪も泊まった油やは15人まででしたら素泊まりの宿泊も可能です(要予約)。
一泊一部屋お二人以上でご利用の場合:3,150円(一人一部屋使用の場合:5,250円)
*翌日14(日)は秋の追分名物「きのこ祭り」が今年は中止になりましたので油やエントランスに導入された薪ストーブにて、きのこ汁のふるまいも予定しております。秋の軽井沢、おいしいお料理とアート語らいませんか。ご参加お待ちしております。

月山

河出書房新社から出ている単行本の題字「月山」は空海によるものだった。

さてこの物語り、読み始めて頁を一回めくったあたりに「…すなわち月山は月山と呼ばれるゆえんを知ろうとする者にはその本然の姿を見せず、本然の姿を見ようとするものには月山と呼ばれるゆえんを語ろうとしないのです…」といきなりの命題らしき一文。その後はただ淡々と「私」と寺の「じさま」が雪に閉ざされた世界で一冬過ごすおはなし。

文章は野暮ではないがけして粋というわけでもなく、なんかフツーなんだが飽きるということもなく、かといってぐいぐい引き込まれるでもなく…なんだろなーこういうの。ぜったいハリウッドじゃ映画化できないよね(しないだろうけど)。う〜んなんだろなー(2度目)…ほんとフツーすぎるんだけどどことなくエッチな感じさえしたりしてさ、いや別に「私」と「じさま」になんかあったとかいうんじゃないし、あったらこわいし。あ、ちなみに「私」は♂ですからね。なんかイメージ寺尾聰かな、「じさま」は大滝秀治?(ちがうかな…)、寺尾さんと大滝さんがなんかこう…閉ざされた世界で禁断の…って、いやとにかくそういんじゃなくて。

たぶん描かれてる風景がなまやさしくなく美しすぎるんだろな。きっとそう。

temptation

悪魔にタマシイを売ってはいないと思うのだけれど、もしかしたらかるくそんな魔的なモノと友好関係くらいは結んでるかもしれない…と思うフシがなくもない。ルシファーは絶えず不道徳な世界への誘惑を怠らないだろうし、そちらへの道筋がどれだけ甘美なものかをすでに知っている僕らは、容易に現実から浮遊しようとイメージの翼を広げたがる。そしてその能力なら多少はあるみたいだし…でなきゃ絵なんか描かない。

ただ誘惑がそもそも自分の内側からのものなのか、自分が生み出したモノから受ける二次的なものなのか最近その境界が混沌としていてオモシロイ。とは言え調子にのってると霊的な夢想に封じ込まれそうなのでほどほどにしとかないと…。そう思ったら精神もへったくれもない唯、物に凝り固まった冷徹さへのバランスに一気にシフトしてみるのも一興か。

でも両者は結局表裏、バランスの問題ではないのだろな…そんな気もする。

*recently books:「月山」森敦/しぶいでしょ。なんか読まなきゃ…て思ったのよ。西へのとびらは絶えず開いてんだけどやっぱ東北…だいじかも。