Jin Nakamura log

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東京2展

一つ。コレクション展「新春の国宝那智瀧図」仏教説話画の名品とともに

根津美術館は初めて…以前からシブいのやってんなーとは思ってたが。個人コレクションを元としてるさほど大きくもない美術館だが、国宝8点・重要文化財40点程という収蔵クオリティーはなかなかのもの。さすが明治の財閥はスゲーや。コレってここのだったんだ…てのもいくつかありびっくり。その内の一つ「国宝那智瀧図」これに会いに。

退色が進んでいるせいで胡粉で描かれた一筋の瀧以外は一見何が描かれているのか判別しがたいのだが、それがまた逆に中央落水の軌跡を浮き立たせることになっている。右上山の端に大きな月がのぞいているので夜の風景であり光に充ちた画面ではなかったはずだが、時は紅葉、半身に隠れているとはいえ満月の光、それを映す一条の流水と飛沫…。描かれた当初はかなり幻想的な色彩であったことだろう。

できたら近いうちに熊野に詣でようと思っていた。これも何かの縁なんだろう。

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一つ。「飛騨の円空」千光寺とその周辺の足跡/トーハク

芸風として円空さんは嫌いでもないが好きでもない、よく対比されるが木喰さんもそう。たぶん自分の中でこういった素朴派を受け入れられる寛容さがまだ育っていないんだろう。

生涯で12万体彫ったという。物理的にムリであろうという説もあるようだが数分でできそうな木っ端仏も含めればあながち無理なこともないようだ…が、いずれにしても尋常じゃない制作量である。

膨大な作品量を残したと云えばピカソもそうだ。とても若い頃彼の作品の線をみて、このくらいなラインなら自分にもひけると思ってた。高じてピカソくらいなことならほぼ出来ると。あるとき彼の生涯に残した作品量を調べたところ、自分がこの後同量のブツを残すには、とっても長生きした上で1日2〜30点以上は制作しなければならないことに気づき、それまで根拠なく信じてた我が身の天才性をあっさり否定するに至る。

天才とは尋常じゃない努力をヘッチャラな顔してやるヒトでしょ。そういう意味で自分などはまったく努力家ですらないな。ま、極めて凡庸ではあるが、そうはいっても才がまったくないわけでもなさそうなのでやれるだけやってみる…という覚悟なり。

話を円空に戻すが、そういう意味では彼は素樸派などではないかもな。前言を撤回しよう、彼はめったにいない、まぎれもない天才の一人だ。

軸装

こんな感じに軸装作業進行中。本画の左右(柱)と中廻し(天地部分)は染織家のナオコ氏がわざわざ今回のために橙に染め下ろしてくれたものを使う。一文字もなんとなく正倉院ぽいのを選んで…たのしみだ〜。

描画完成

ま、こんなもんですかね。なんとか間に合いそう。来週早々上京しお軸に仕立ててもらいます。

この「二天背合圖」実は弥勒さんのお父さんとお母さんです。知ってました?弥勒菩薩にちゃんと父母がいらしたこと、いやこれ過去の話ではなく、あの有名な釈迦の没後五十六億七千万年後の未来の話。父…「修梵摩」母…「梵摩跋提」の子として現世に生まれるということだそうですよ。

そもそもなんでこの絵を描こうかと思ったかというと2/8からのミラボオ企画展に企画担当から時節柄、雛の作品をと依頼されたものの、おひな様をつくるという行為に全く内発的衝動がわき起こらず、仏画でいい?と了解を得てという次第。ただその時点で未来の弥勒出生の秘密など知るよしもなかったが、ちょうど「bodhisattva弥勒」を描きつつあったその頃、件のエピソードを知るに至り、ではまずはお父さんとお母さんからということにあいなったわけサ。

Revoltech BUTSU

買っちゃった〜! 

リボルテックタケヤシリーズ「持国天」(KAIYODO)

仏像を可動させて好みのポーズをとらせる…という前代未聞のコンセプトで制作さてれてます。ロボットやヒーローものフィギアで関節部を自在に可動させるリボルバージョイントが20ヶ所以上組み込まれており、本来の基本様式を超えた変形アクションポーズが可能というわけです。例えば写真の持国天さんは右手に(げき)という槍のような武器を持ってるわですが、たとえば無手にして様々なポーズをとってもらったり…とか。

仏像は時代が古いほど直立的なものが多いのですが、鎌倉期になってくるとミケちゃんまっさおな感じの写実的西洋彫刻風なブツに変化してきます。慶派の仏師たちももしこのリボルバージョイントの技術を習得していたならおそらく動く「新仏像」シリーズを制作していたことでしょう。たとえば東大寺南大門の金剛力士、週一でポーズ替えとかサ。なんかワクワクしてきません?。

それにしても小さいながらこの邪鬼さん…なかなかの踏まれっぷりです。

天つ風

ムスコちゃんたちがまだ小学生のちびっ子のころの本(学校で使ってたのかな…)と思われる、満点ゲットシリーズ「ちびまる子ちゃんの暗唱百人一首」が誰が見つけてきたのかなにげに机上に。HAIKUはあそばせてもらってるがさすがに和歌をたしなむことはない…が、なんとなくパラ見しつつふと百首あるわけだからMy best 1をと選りすぐってみたのがこれ。

「天つ風 雲の通い路吹き閉ぢよ をとめの姿しばしとどめむ」…どうよ!

以上の件に関して同居人の感想:「老齢の仙人が下界のうら若き娘のふくらはぎのあらわなるについ見とれて、その霊力をあっさり失う…って感じね〜(以上コレを選んだ件についてもっとぐだくだ云われた気がするが要約すると)」。って失礼な!僕は老齢ではないし、まして仙人でもない。それに今時「ふくらはぎ」くらいでムラムラもしない、せめて「太もも」。

それはさておきたしかに若い娘を自らかどわかしておいて、逆にその魅力に取り込まれ飛ぶチカラを失ってしまった天狗の話を聞いたことがある。いやそんなことよりこの歌の「をとめ」は天女のたとえですからね、そのへんのチャライねェちゃんじゃないのよ。もっとこう次元が高いっていうかサ、宇宙的っていうかサ…ま、いいや。

ちなみに作者は僧正遍昭…坊さんかな…桓武天皇のお孫さんで六歌仙の一人らしい。

紙本着色

だいぶできてきた。このあとドーサひいて箔貼って主線描いて…。

そいや“夢”とちゃんと向き合ってなかったな(ふつうそうか)。人生1/3くらい損してたかも。

明恵

「あきえ」ではない。「はるえ」でもない…だから女の子の名前ではない。「みょうえ」お坊さんの名前である。空海、親鸞、日蓮、西行…と、bow-san booksをなんとはなしに読んできたわけだが今回はこの方にハマりつつあり。とはいってもこのひと、日本的霊性が大きく活性化した鎌倉期にあって先に上げたbow-sansの内、親鸞、日蓮などは言うに及ばず法然、道元などなど名僧と言われる人々が名を残す中、特に新しい宗派を立ち上げたわけでもなく、現在に至るまで彼の教えを伝え続けるような一派が徒党を組んで残っているわけでもなさそう。でも先の“ナニかを成しとげちゃった”人たちとはまったくちがったタイプの人間的魅力の持ち主っぽいのよ。

樹上座禅像」なんかこのインパクトのない感じ、よいでしょ。普通頂相図などは威圧感・存在感をもって良しとするところだけれど、このひと履いてきたきたゲタをぬぎ捨て、二股に分かれた松林の木に座っちゃってます。お数珠もそのへんにひっかけて。あまりにも周囲と一体感ありすぎで、剃り上げた後頭部あたりから今にも栗鼠などのぼってきそう。

こんなこと言ってます「我は後世たすからんと云う者にあらず。ただ現世にあるべきようにあらんと云う者なり」。前半は当時一世を風靡していた浄土信仰とはとても遠いところにある言葉ですねぇ。後半もなんかチカラがぬけててイイ感じ。一宗一派を成さんともせず、大寺院を建てようともせず、特に弟子もいらないといい…それでも人を引きつけるなにかもってる不思議なオッチャン。

その不思議キャラを今に伝えてるのが「夢記(ゆめのき)」…

しばし彼の夢世界を探検してきます。

Artな日々? 他

collage de sun-ga-nichi+1日のところですっかり日常のカベに阻まれ滞っていた3日に1作計画。三賀日につきあってくれたHARUくんはその間、仕事の合間を見て着々とすすめていたらしく作品数は8点に…いいだしっぺのヒトは1作抜かれてしまった。一見どうでもいいような行為も数を重ねてくると何かしらの意味がありそうに見えてくるから不思議だ。自分のしていることの意味や成果を問う前にまずは己の気持ちに寄り添い続けることって簡単なようで結構ムツカシイ。不安にならないこと、楽しむこと、信じること…コトバにするのはカンタンなのだけれどね。

夜遅く仕事から帰って眠い目で面相筆の先を震わせている…明日のためにホントは早く寝た方がいいのにサ。でもその行為は間違っていないと思うのです。今回はそんなカレの仕事場(じつはキッチン?)初公開(本人検閲済み)!

さて、その分野のちょっとだけセンパイのオッチャンはナニしてるかというと「二天背合圖」制作中。こっちは眠くて面相筆の先が震えるのではなく、加齢による視力低下で筆の先がかすむ。アートは体力勝負だ〜。まにあうかな…2月8日。

+(余談)

珍しく知り合いの女の子からメールあり「穴掘るの手伝って…」って死体?愛憎のもつれか?共犯か?しばらくして再メール「あ、死体…でもヒトじゃないよ…でも手が足りたからOK」…なんやねん!!。

untitled

写真右下はヒトの、左下はそうでないモノの足跡。

長ぐつで歩くのしんど〜い…でもたのし〜、マジでスノーシュー欲しいぞ!。

Reacent books◎「AKIRA1〜6」大友克洋/「明恵上人」白須正子/「恋明恵」光岡明/「明恵  夢を生きる」河合隼雄/「絵解き般若心経」瀬戸内寂聴+横尾忠則/「霊告日記」北一輝

Snow day

20cmは超えた。ちょっと前に自作のカンジキであそんだなー。スノーシューってスポーツショップに売ってんのかな? あったらほしいな…。新雪の中歩くのってキモチよいよ。