Jin Nakamura log

Posts in the 俳句 category

晩春の句会

日々はあわただしく、また時に切ないけどそんなとき思いを小さく言葉にまとめてみるのもなんかいいのさ。

天神の絵馬膨らみつ春日和

オッパイのかたちした山春霞み

せめてもの骨の太さやいぬふぐり

初春の句

「清濁を合わせて森の水ぬるむ」

三寒四温もほどほどにしてよ〜てな春ですね。その繰り返し訪れる「温」の気配を最初に感じた日の句です。冬の寒気に閉ざされていると「匂い」というものを忘れそうになります。-10℃くらいが普通の最高気温の頃、一気に+10℃まで上がった日がありました。我が家の周囲の森(規模的には林かなあ)から久しぶりの「水」の匂い。昨年の秋あたりからそれこそいろんなモノを溜め込んで、解け合って混ざり合って…でもそれは都会の雑踏で感じるような腐臭ではなく。複雑なんだけど、けしていやな匂いじゃない。「あ〜コレコレ…森の匂いってこんなだったよな…」って思い出す。正しく朽ちていくものはイイ匂いがするんじゃないかしら。

 

「きらきらの靴底重し春の土」

春の土ってこんな感じでしょ。今年はだいぶ雪が残っていたので何度もいわゆる農道を外れてレタス畑の中をズンズン歩かせてもらっちゃいました。その雪が融けると、もこもこにひび割れた畑の土が顔をだし、さらに温かくなると湿り気のある柔らかな土にもどります。足下はすでに長靴とかブーツではなく軽やかなんだけど、もうその土では軌道を逸して畑の中は進めないのです。

 

「外泊の春の夜ぬるし茶パツ猫」

小丸ちゃんの先代のミーちゃん(ウチでは代々たいがいのネコはとりあえずこんな名前)のことです。もともと外ネコだったので家外、出入り自由の茶トラちゃん(だから茶パツ猫)。朝帰り、2Fのベランダから僕の枕元のサッシをガリガリ。ガリガリすればちゃんと開けてもらえる思ってるところが憎たらしい(ちゃんと開けるんだけどさ…眠いのに)。ちなみに6ヶ月で発情期に入った早熟コマさんはそろそろ避妊手術のため病院お泊まりにいきます。

晩冬

もう弥生三月も近いというのに、どゆこと!?ってくらいに冷気の底に沈んどります。用事がなかったら家から出たくない…が、勇気をふりしぼってちょっと歩いてみた。雪の表面がいったん融けてまた凍ってんのわかる?外はカリカリ、中はフワフワ…って出来のいいメロンパンじゃあるまいし。

晩冬の句会もすでに終了し、初春の投句を待たれているのだけれど、なかなかそんな気分になれないこの数日。と、その前にまずは先日句会の三句をば。

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「白樺に黒葉しげるか寒烏」

「雪道の似合わぬアルファロメオかな」

「雪原にななめに立てる我のをり」

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確か冬至の頃の日の入りは4時25分前後。現在は日の入りの位置もだいぶ北よりの山の端となり、1時間近く日が長くなっている。地球が大きく移動してるのがわかる。

仲冬の句会

「冬月にもぐる鉄路の光あり」

「暖鳥放つか否かは伽次第」

「あやかしの小僧じじいや冬の暮」

以上My拙句。以下仁選+カンソー的なモノ

「去る猫の尾に陽の残り漱石忌」

ネコモノはねぇ…、絵になっちゃいますからねぇ…ずるいですよ。漱石忌はやっぱり「我輩…」に引っ掛けてですか?構成といい、着眼点といい、言葉の選び方といい、なんか出来過ぎな感じで、やっぱ選ぶのやめよっかなってふと…思いつつ選んじゃいました(笑)。

「福引きの勝者は慣れぬガッツポーズ」

ちいさくガッツポーズ…ですかね。五木ひろしみたい?なんか妙にひかれちゃいました、この句。なんだろ主人公の絶妙な小市民的雰囲気のせいかしら。

「採血の白衣うっすら冬茜」

なんか萌えますね〜。最後は「冬茜」って季語が強引に入ってる感じしちゃった。もう「あかね色」でいいじゃん、季語なんてどうでもいいじゃんてさ。「血」と「白衣」と「うすもも色(すでに茜でさえなく)」でもう別な妄想へ! ごめんなさい!!!!

「初詣貫主の頭拝みけり」

拝んじゃったのやっぱりあのツルっとした後頭部あたりですか?これもかってにビジュアル興味先攻だぁ〜。こういうのによわいのかな…。

「去年越えて汽笛海界(うなさか)あたりから」

昭和演歌っぽくて好き。こぶしまわして唄いたくなっちゃう。普通に言ったら「海界(うなさか)あたりから汽笛が…」でしょ。やっぱ演歌は倒置法ですよ(演歌じゃねーし)。

晩秋の句会

今回は…

ドングリを独楽にするから30こ

酸漿よ鬼の灯となれ冷徹に

流れ星見たからといってそれがなに

な、感じでした。
「独楽」は新年の季語だったのか〜ま、いいや。

中秋の句

地に惹かれ落つ若栗の成行きに

目の前で青毬の栗が落ちたんですよ。とはいってもアイザック・ニュートンさんみたいにそこに科学を感じたわけではなく、ただただ、あーそうだよね~、そうなるよね~…って。落ちることが不吉に思ったわけでもなく、栗が簡単にゲットできてラッキーと思ったわけでもなく、それでイイんじゃね、ってさ。

片鱗をみせてみようか秋の空

秋の大空を埋め尽くすうろこ雲をみてたらなんとなく。全部見せろといわれたらチト困るけど、片鱗くらいならなんだか見せられるような気がしません?

年下の父の遺影や秋彼岸

気がついたら父の享年を越えていた…ということではないのです。彼が他界したのは本人が40代前半なのですでに10年ほど父を越えて生きてることになり、もちろんそのことは承知してました。問題は遺影です。高校野球のお兄さんがいつまでたっても自分より大人びて見える…あんな感じかな。昔のことなんで旬な遺影撮影などしていたわけもなく、亡くなった時よりもさらに若い頃のものだったはず。なのに未だに自分より年下の人には見えない不思議。なんでだろ…。

初秋の句

いよいよ秋も本番。ということですでに投句してました拙句。今回は自句解説付。

まどろみて月の5センチ動きけり

5センチという数字が正しいかと言えばそれはウソですが、ま、ウトウトの間に自分基準の目測で窓ガラス上ヤツの移動した距離はだいたいその程度かと。いつも思うんですけど月の軌道って僕、まったく把握してません。なにしろ自分が寝てる間ですからね、もしかしてジグザクに動いてたりとかさ。月ってなんか正体不明ですよね。

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日暮の音に祈りの永きこと

諏訪大社上社に夕暮れ時、参拝したときの風景です。ひとけの少ない境内で男女が寄り添って尋常じゃなくなが〜くお祈りしてました。ホントもうかたまった感じ。いつ動くんだろとしばし観察してましたが根負けして帰ってきちゃった。最近「祈り」と「願い」のこと考えます。ずっと自分のことばかり願っていたなーと思います。自分以外の人の幸せを願ったら少しは祈りに近づくのかな…とも思います。まだまだ修行がたりないのですよ。

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正論を吐けば気まずき秋の風

そういうことあるでしょ。正しいこと言やあいいってもんじゃないんですよ…ってまあそういう失敗をかさねてきたわけですけど。というより今となってはそもそも自分が正しかったのかさえも十分あやしいけど。それでたどりついた座右の銘「逆らわず いつもニコニコ従わず」(受け売りですけど+以前も書いたけど)。いいでしょ、このイヤらしい感じ。仲良くね、でもしょーがねーな…って相手に自然にあきらめてもらう。尖閣問題などもできればそんな感じでネ。

初秋

もうちょっとだけ続けようと思ったtime-lag diaryはもうオシマイ。やっぱ旬の時に書かなきゃ紡ぐ言葉も瑞々しさを失おうというもの。言霊とはそういものか。さて季節は9月に入り初秋だが、晩夏の句会もすでに終了しておりますので拙句をば…

明かり夜に百合の香匂ふ嗤い坂

その昔レモンスカッシュのような人

フラスコに光り充ちたり夏の空

…な感じです。本日チト医者通い(大したことじゃない)に昨年古本市で買ってそのままにしてた「私と直感と宇宙人」横尾忠則・著をしばし読み進める。な〜んだ、こんなとこにもちゃんとタマシイと身体のこと書いてあったのかぁ…と感心。しかし第一話「ワシ…瀧の夢を想う」が全て関西弁で書かれてるのちょっと読みづらかったー。聞いてる分にはイヤでないしむしろ心地いいのにな、なんだろな。たぶん活字を追って自分でヘンなエセ関西弁風のイントネーションつけちゃうんだろうな、きっと。

untitled

夏空に崩れゆくかよ龍の笑み…このあと龍が笑ったんだよ。

仲夏の句

夏、盛りですね。

「昼頃、高温になるから外出を控えるようにと町内放送がありました。…」とは句会主宰のメール。真夏の戒厳令か〜なんて思ったりして、というわけで僕は当分ココを離れません。

さて久しぶりですがオトナの遊び“句会”より。今回は自句とともに選句も。

自句

庭先に虹を操るジョロの先

毎朝のアカハラという鳥たぶん

夏至夜風酔い醒め温むアスファルト

仁選

「さみだれて魚でありし跡に触る」
いつものことで意味不明・不思議系好きで選んではみたもののどのように想像しようかちょっと棚上げにしてる間に時間が過ぎちゃいました。この場合の季語は「さみだれて」になるのでしょうか?平仮名にしてあるので「五月雨」のイメージではないものを被せたいのかな…、「さ、乱れて」ですか?気持ちの乱れと言えばやはり恋?だとすれば後半がまたわからん。自分のカラダのなかにそんな進化(あるいは前世)の痕跡をお持ちですか?ステキですね。どこに触れたのか知りませんが、たぶん何か記憶があったんでしょうね。…で結局やはりよくわかりませんでした〜。
「頬よせて微熱を移す錫の鉢」
錫は一時期制作の素材として使ってたことあり。柔らかい金属ですね。「錫の鉢」は無機物のはずなのに前半の五・七が妙になまめかしいといのでつい微熱を移したのは想い人だったのかななんて妄想。
「ゆふらゆら夕あぢさゐの青に昡る」
「昡る」はなんて読むのですか?「くる」?モノ知らぬついでに「夕あじさゐ」は夕顔みたいに夕方咲くのでしょうか。その青が眩しいのですね。そのものにくらんだのかそれとも夕日かなんかが反射して眩しかったのか…。ただ見たままそれだけの状況を詠んだのか、なにか意味ありげな感じもしないでもないし…う〜ん、これもよくわからん(わからんなら選ぶな…ってつっこまれそう)
「かへし陽に茅の輪(ちのわ)くぐりて更に生く」
前にTVかなにかで見たことあるような…。神社かお寺でやってる行事でしょ?穢れを祓ってさらに生きるってわけですね。だらだら生きるのも、生き抜こうと覚悟を決めて生きるのも生きることにはかわりはないけど、一瞬この身を借りて舞い降りた魂なれば現世を謳歌したいものですねぇ。
「ひからびた蚯蚓に聞けり明日の風」
最初「蚯蚓」を「蜥蜴」と勘違い。なるほどたしかにミミズはよくひからびてますね。それに明日の風を聞いちゃうわけですか。なかなか特殊な能力をお持ちで。でもさ、そういう感というか、総合判断能力は実はみんな持ってるんじゃないのかな。たぶんカガク的なものでマヒさせらてんですよきっと。