水月魚籃グラフィカル
- By jin
- In art exhibition
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- On 12 6月 | '2015
今年の展覧会スケジュールは以下のようになりました。
4月10日(金)〜5月30日(土)ナカムラジン展「哈版」FLATFILE/長野
4月25日(土)〜5月31日(日)Jin Nakamura EXHIBITION「偶像崇拝」ART PROJECT 沙庭/軽井沢
4月18日(土)・19日(日)境内アート/玄照寺/長野・小布施町
6月14日(日)〜6月21日(日)個展/Galerie のきは/徳島
7月9日(木)〜7月12日(日)ART MONAKO/モナコ
8月3日(月)〜8月16日(日)N-art展/ガレリア表参道/長野
9月5日(土)〜9月13日(日)個展/Art Space 563/台湾・台北
9月後半 個展/いまあじん/足利
10月23日(金)〜10月25日(日)YIA アートフェア/フランス・パリ
11月6日(金)〜11月12日(木)個展/器スタジオTRY/東京
11月13日(金)〜11月19日(木)「わたしたちの神楽月 音楽編(仮題)」/GALLERY 工/東京
11月30日(月)〜12月6日(日)個展/銀座煉瓦画廊/東京
さて、なんとかのりきらないと。
各地から冬の便りが届いている…ってもう四月ですけど。ま、こういことはよくある。毎年四月の第三周に北信濃小布施町で開催される「境内アート」では数年前大雪となったことがあった。まさに雪と桜の競演。その「境内アート」に出展するための四曲屏風の下図制作に時間と格闘しながら日々取り組んでいるわけだが気分転換にこの寒い中散歩に出てみた。写真は当blogでも何度か紹介している軽井沢のクリーク「御影用水」。今朝ほどの雪はだいぶ解けたようだが、霧が残っていかにも寒々しい風景。
さて、散歩中ってよくどうでもいいことが思考に浮かぶ。季節ごとの風景を楽しんだりしてはいるものの基本的にただただ足を前に運ぶだけの単純作業なのでちょっとした無の境地というか、何も考えないことを考えているというか。そうこうしているうちに無心と妄想は紙一重となって…。
で、今回ふと浮かんできたのはなぜかDRAGON BALL。孫悟空とサイヤ人の天才戦士ベジータは永遠のライバルなわけだが、結局天才だったのは悟空の方だったかなと。
生まれもっての数字的能力(ヤツらは戦闘値とか計れるのです)では悟空は下級戦士と判定され地球に送られてしまう。おまけにお子ちゃまのときに頭を強打して本来持っていたなりふり構わぬ攻撃性が失われ、とってもよいこになってしまって、戦闘民族としては能力的にも環境的にもホント最悪な出生なのでした。一方ベジータは恵まれた能力に加え、誇り高きサイヤ人の王子としてエリート街道まっしぐら。実兄ラディッツを命をかけて倒したことで実現する二人の邂逅の戦いでは悟空はベジータに全く歯がたたなかったわけだが、長いながい時間をかけて(全42巻!)あれだけ能力の差があった悟空はベジータに一目おかれるほどに成長していくのね。
ヤツの長所はまず「めげない」よく「ま、いっか…」って言ってます。そして向上心がある。はたからみてるとおそらく尋常ない努力をしてるんだけど、本人はそれに気がついていない。かねがね天才とは尋常ではない努力を平気な顔して出来る人…と考えてましたが、今日の散歩でソレって悟空だなと気づいた。「ウォ〜〜!俺今最高に努力してんぜェ〜〜〜〜!!!」などと言ってるうちはダメということですよ。
戦闘民族を引き合いにだしましたが絵を描くなどということはたぶん闘ってはだめですなー。できれば仲良くしてもらいたもんです。
仕事場というものは作家の芸風を十分に反映するものだと思うが、そういう意味では自分の制作現場はまったく大作に向いていないということを改めて実感する。(けして狭い仕事場ではないのだが、いかにもモノが多すぎる)
あたりまえだが僕は過去こんなサイズの絵を描いたことがない。まずは左双から制作にかかるわけだが、その時点でふと思う…どこで描くんだ?
というわけで使える壁面(本棚だけど)はここしかないとう場所に仮設イーゼルを製作するところから仕事が始まった。右双左双分の下図・原画制作含めて概ね今後2〜3年はこの風景とともに暮らすこととなる。
サイズ感が経験値のない世界なので十分な自信があるとは言えないが、全く歯が立たないわけでもなかろうとも思う。いずれにしても乗りこえなければならないハードルなんだなと。
四曲一双屏風「仏果山海圖」。おいおい制作状況レポートしていきます。現時点で1/4サイズ下図の下図が概ね完成。境内アート(4月18・19日)にてまずは原寸下図の公開を目指します。
NHKにっぽんプレミアム「草間彌生×アダチ版画 ザ・プレミアム 草間彌生 わたしの富士山 〜浮世絵版画への挑戦」をみた。
知人が録画したデータをサイトにアップしてくれたのでそれを(ウチは地デジ化以降TVがないのだ)。
で、ちょっとココロが動いた…かも。
画業80年。今や世界的アーティストとなり、一つの様式を作り上げた作家として「あ、水玉の人ね…」とまとめてしまうのはあまりに簡単だが、そのドキュメントをみるとき何かしら感ずるものはある。作家であるのなら作品が全てであるのかもしれないが、その作品とどう向き合ったか、どのようにして描かれたかを知ることは興味深いし、作品の理解も深まる。
まず今から30年後、自分が彼女と同じエネルギーで制作できるかまったく自信がない(そもそもこの世に留まっているかどうかも)。その一点だけでも賞賛に価する。知られていることだが彼女は精神科の病院とアトリエを日々往来しながら時間を惜しむように制作し続けている。立てないわけではないらしいが足腰もだいぶ弱っているようだ。そうした状態で大作と向き合う日常…それが彼女の日常。その姿を尋常ならざるとものと思うのは僕らの都合であり、あまりに偏った価値観に過ぎないのかもしれない。
どちらの彼岸に立つのかはそれは運命だから。
こちらの岸からは僕らの立っている風景は俯瞰できない。彼女は僕らの世界の混沌を見透かしているようにも見えるがほんとうのところはよくわからない。彼女にとって遊びは死に近いようだし、死を怯えてるようでもあり楽しんでいるようにも見える。いずれにしても彼女の見える風景と僕らの見える風景は異なる…が、共有できる部分が全くないとも言えない。救いはあるのだろう、立場が違っても。そういう能力を放棄しないことだ…と教えてくれる。
肉体と精神を懸けて仕事をするなどということは4,50代で出来ることではない(少なくとも自分などは)。選ばれた人なんだろうな。今の世界に大切な人材のひとりかもしれない。
余談だが(というか本編制作の意図はそこだが)草間の描き出した一万コ以上の水玉とそれを版木に置き換える若い彫り師のココロの対話がすてきである。10,000個の水玉を彫るという荒行がその対話を可能にするのだろう。チャンネルが同期する瞬間をみた気がする。その瞬間を「自己消滅」とレビューされるがそれこそ仏教的にはまさに「諸法無我」ではないか。まさに悟りの世界。自分のような凡夫には理解できなくて当たり前なのだ!
劇団風の子国際児童演劇研究所ワークショップ講座、やってまいりました。今期のテーマは「My仏像を作ろう!」です。今回で5期目になる美術の授業ですが、毎回都度僕のマイブームに研究生のみなさんに半ばムリヤリお付き合いいただいてるわけです。
前半はそもそもブツってなんだろう…ということで「超・ざっくり仏像講座」を紙芝居風に約1時間ほど語り倒し、その後二日間にわたってコラージュにて制作。我ながらGOODな企画かな…とは思ったものの、事前の自分の試作段階では妙なプロ意識が弊害となり自分で言い出しといた割りには結構悩んでしまったわけですが、案ずるより産むが易し! なかなかどうして、素敵な仏教美術ががザクザクと。というわけでなんか二日間、みっちり布教活動しちゃった気分なり。
[仏のかたち展] 2015年1月8日(木)~25日(日)ガレリア表参道 ◎定休日1/14(水)・21(水)10:00a.m.~6:00p.m.(日曜・祝日および最終日は5時終了)
■出品作家 飯島洋子(リトグラフ/東京都) 長井武志(木彫/さいたま市) ナカムラジン(アクリル/御代田町) 生井巌(墨絵/小平市) 広瀬毅(建築/長野市) 宮岡貴泉(陶/日高市) ◎特別出品 吉水快聞(彫刻/奈良市)・小山利枝子(アクリル/長野市)
今年最初の展覧会は「仏」がテーマです。なかなか見応えのある展覧会となっております。25日まで開催中です。是非ご覧下さい。