Jin Nakamura log

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face to …

絵なんてモノゴコロついてからずっと描き続けているわけだが、今回は少々戸惑いが多いなー。ピュアに描いてるようであり、なにか周到に考えすぎているようであり、無理してるようであり、またそれを楽しんでるようでもあり…。いずれにしてもこの絵自身がどうなりたいのか探り合いに結構時間がかかりそうな気配だ。いままで絵と向き合うなんて意識したことなかったかもな。といって別に不真面目だったわけでもないんだけど。それにしてももうちょっと上手に描けないものかしらね。

Takeno photo from Osaka

映像作家の藤原次郎氏より今年10月に行われた三原谷の風まつり展示風景の画像が届いた(そういえばなんか撮っていてくれてたっけ…)。あらためて自分以外の人間のフィルター(感性)を通してみると自分で生み出した世界なのに、またちがったものに見えて新鮮。わずかに写り込んだ窓越しの竹野の風景も、たった2ヶ月ほど前のことなのに妙に懐かしく感じてしまう。ちょうど今日から写真に写ってるbodhisattvaの着彩を始めようと準備をしていたところだったので不思議なタイミングを感じる。

untitled

今シーズン3度目の降雪。雪は未明に降ったらしくAM現在すでに明るい陽射しあり。1/23〜2/4の2人展「天地化身」神林學+ナカムラジン(ギャラリーオカベ/東京・銀座)のDMを校了とし、なんとか年内納品をめざし先ほど入稿。なんか全てが綱渡りだが、これで年賀状的なモノも用意できそうで年内に対外的にクリアしなければならないものは一段落。この後は宿題になってる「油屋プロジェクト」のVIシステムの制作などしつつ、そもそもbodhisattvaシリーズの本格的な制作に入らねばね…。

仏母

自分自身をなんとかダマして元気なフリをしているつもりでも実はわかる人にはわかるようで、「アヴァンギャルドクロッキー展」搬入作業中「あなたは今日は早く帰って寝なさい」と同展出展者で日本画家の生井巌氏(虚無僧になりたい人です)より何げなく諭される。なにか後ろめたく隠してるものを見透かされた感じでドキっとした。忙しい生活などけして美徳ではないことはわかってるのだが…。とはいえ実はその日、当の本人生井氏の齢70才の誕生日ということで結局彼の言うことを聞かずまた飲み明かしてしまうことになるのだが。そんな彼が翌日の忘年会の日(性懲りもなくまた呑む)おもむろにカバンから取り出して僕に託したのは「仏眼仏母」他4体の写仏画であった。どういうつもりでその精緻に描かれた仏画を僕に渡すことにしたのかは結局聞かず、なにより尊敬する作家の真筆であるし、しかも仏画であるし、ただただ嬉しくてありがたくいただいた次第。後で考えるに、あまりにも疲れて可愛そうな僕にきっと元気を出しなさい…と励ましてくれたのだと思っている。事実その日も結構深酒をしたのにも関わらず翌日なんとか元気をとりもどし、件の横尾氏の公開制作に府中まで出かける気力が湧いてきたのだ。仏像も仏画も何かを信じたい人間の脳が生み出してしまった“シルシ”にすぎないと見る向きもあるだろうが、そういものが人の身体とココロを奮い立たせることもまたある。写仏画には仏の名称や(おそらく)梵字の発音表記、出展原本の情報なども丁寧に記録されてる。その中の2体に「仏母」という文字が表記されていて興味深い。初めて目にする言葉だが以前、胎蔵界・金剛界の両界曼荼羅を母子(子は男の子だったか…)の関係で宇宙全体を思考しようとする解説を読んだことがありそんなことをちょっと思い出した。

公開制作

17才の頃に撃たれた「SANTANA  LOTUS」のポスター。以来その衝撃と呪縛から開放されないな。好きなものは好きだからしょうがない。そしてこのたび初めて制作した本人に会いに府中市美術館へ赴く。なんで公開制作なんて不自然なことしてるのか理由はよくわからなかったが、一人でこもって描く時とはまた違ったものができるらしい。お題はやはり「Y字路」。ずいぶんと地味な色調であったが、見えてるものを見えないように描きたいんだそうだ。これも理由がよくわからなかった。制作中は撮影禁止なので写真は彼がバックヤードに休憩にいってるときに写したもの。まあ本人に会ったからどうということもないのだが、自分の中での一つの整理と言うかそんなとこだろうか。「魔除猫」のフィギアストラップを記念に買って帰る。あ、会いにいった人は横尾忠則さんです。

初冬の句

初冬の句会。ナカムラの投句は以下三句です。

「さむ風に てぶくろの中 にぎるゆび」

「漆葉の 朽ちて深紅は 過去世こと」

「冬蠅の 傍若無人に 振る舞える」

いきなり解説を添えるのは野暮というもの。ネタばらしは後日1週間後くらいに。覚えていたら…

女性5名+男性2名のネット句会なのです。住まうところも遠く離れ、なので季節の感じ方もさまざま。詠み人の暮らす風景など想像をしながらメールで送られてくる17文字を読み解くのは楽しくもあり、ちょっとだけスリルもありますね。「想像する」というと聞こえはいいですが時として「妄想する」とも言えなくもない。もしかして本人にはまったくそんな気はなく詠んだ句にも妙な艶っぽさを感じてみたりして。半分くらいの人はお顔も知らないのに当句会の主宰のご縁でつながってるわけで、そんな方々にたった17文字とはいえココロの内を吐露する言霊を送るわけですからちょっと不思議な気分です。「俳句」という言語でつながる日本的でマニアアックで最小単位のSNSってところでしょうか。

油屋プロジェクト

今年10月に軽井沢町追分で開催された「ホンモノ市」の舞台にもなりました中仙道追分宿旧脇本陣油屋が前身の「油屋旅館」を保存活用する「油屋プロジェクト」が来春オープンに向けて着々と準備がすすんでいます。当面は本+アート+クラフト+カフェあたりを運営の柱にして展開していく予定。ベースの建物が旅館であるためレジデンスあるいはバックパッカーズのような簡易宿泊施設としての活用も検討中。ナカムラも諸々の成り行きでコミッティに参加することとなり、やるからには本気モードでという展開で主にアート部門担当の運びとなりました。プロジェクトの正式名称は年内には決定し、年明けからすぐにCI+サイト制作に入ります。できるだけ早めにメイキング履歴も含めて企画内容等もそこで告知していきますのでお楽しみに。以上現状ではかなり漠然とした情報で恐縮ですが、この件につきましてお問い合わせ等ありましたら当サイトコンタクトメールにてご連絡下さい。軽井沢町追分からの文化の創造と発信に興味があれば現地見学も可能です。

Library of the Year

アーティストワークショップ「美場テラソ」でお世話になってる長野県小布施町(境内アートの町ですよ)の町立図書館「まちとしょテラソ」が「Library of the Year 2011 」大賞に輝きました!すばらしいですね〜。「交流と創造を楽しむ文化の拠点」とスローガンを掲げることは簡単ですが、なんとなく実践してしまうところが小布施らしいですね。もともとこの町は“前例がない”こと大好きで、“だれもやってないんだったら、やってみりゃいいんじゃない…やって考えましょ”って気風がありますね。で、案外それが失敗しないのね…少なくともそう見える。はやり当事者たちが楽しんでる感じがいいんでしょうね。ホント微力ですが「美場テラソ」もそんな楽しさの一助になっているのだとしたらうれしいですが。設計段階で無理言って多目的室に流し台作っといてもらってよかったナー。で、で、来年早々に受賞記念祝賀会開催の運びとなり急遽記念の“引き出物”を制作することになりました。たぶんテラソくんがプリントされてるPOPな何かです。当日までのお楽しみにしときましょうかね。追々ライブラリーショップでグッズとして販売していくことになると思いますので制作完了しましたら画像にてお知らせします。にしても時間がない…また一つ課題が増えちゃいました…だいじょぶか…。

感想文

「阿弥陀仏」を礼拝するお寺が1つの舞台になっているので、著者の「僧侶」という経歴は宗派としては真宗系なのかなと推測されるが、登場人物の浄鑑という住職(著者自身なのかもだが)はかなりクールな宗教観を保つタイプ…言い方を変えれば日本的仏教というよりはインドで産声を上げた原始仏教に近い感覚を持つ宗教家として描こうとしているようだ。ホラーサスペンスという設定上、起こりうる超常現象をいちいち釈迦の「無記」の思想(死後の世界があるかとか、魂はあるのか…ということにつて何も語らなかった…というようなことですね)に時にストイックなほどに寄り添い、でも真摯に対処しようとする姿勢を貫く。しかも自分の納めてきた宗派…おおざっぱに言うと「顕教」の理念に添って。中坊のころからの密教好きにとっては、そのあたりは実はとても新鮮であった。魔を折伏させるために護摩を焚き、印を結び、真言を唱える…というような密教的な所作はいかにもサイエンスフィクションでカッコいいので多くの作家がそうしたエッセンスをわりと安易に筋書きに取り込む例は多いが、そういう意味では比較的地味な「顕教」をベースにしてるところが、その日常というか生活感かえってリアルな怖さを醸しているような。「密教」はSF、「顕教」はホラー…とういうところか。以上ずいぶんマニアックなところにひっかかった読書感想文でした。しかしこれではまったく内容がわからないので詳細は書評を→「アミダサマ」沼田まほかる・著(新潮社)

*先日、本焼きした酒器(ぐい呑み)の上絵付け作業がやっとおわり夕方から上絵焼成(800℃弱)に入る。明日未明には予定温度に達する。15日くらいには展覧会場に発送できるか。