Jin Nakamura log

仏母

自分自身をなんとかダマして元気なフリをしているつもりでも実はわかる人にはわかるようで、「アヴァンギャルドクロッキー展」搬入作業中「あなたは今日は早く帰って寝なさい」と同展出展者で日本画家の生井巌氏(虚無僧になりたい人です)より何げなく諭される。なにか後ろめたく隠してるものを見透かされた感じでドキっとした。忙しい生活などけして美徳ではないことはわかってるのだが…。とはいえ実はその日、当の本人生井氏の齢70才の誕生日ということで結局彼の言うことを聞かずまた飲み明かしてしまうことになるのだが。そんな彼が翌日の忘年会の日(性懲りもなくまた呑む)おもむろにカバンから取り出して僕に託したのは「仏眼仏母」他4体の写仏画であった。どういうつもりでその精緻に描かれた仏画を僕に渡すことにしたのかは結局聞かず、なにより尊敬する作家の真筆であるし、しかも仏画であるし、ただただ嬉しくてありがたくいただいた次第。後で考えるに、あまりにも疲れて可愛そうな僕にきっと元気を出しなさい…と励ましてくれたのだと思っている。事実その日も結構深酒をしたのにも関わらず翌日なんとか元気をとりもどし、件の横尾氏の公開制作に府中まで出かける気力が湧いてきたのだ。仏像も仏画も何かを信じたい人間の脳が生み出してしまった“シルシ”にすぎないと見る向きもあるだろうが、そういものが人の身体とココロを奮い立たせることもまたある。写仏画には仏の名称や(おそらく)梵字の発音表記、出展原本の情報なども丁寧に記録されてる。その中の2体に「仏母」という文字が表記されていて興味深い。初めて目にする言葉だが以前、胎蔵界・金剛界の両界曼荼羅を母子(子は男の子だったか…)の関係で宇宙全体を思考しようとする解説を読んだことがありそんなことをちょっと思い出した。

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  • yokoiijima

    2011年12月24日 at 7:48 AM | 返信

    休めるならば、休んだ方が良いかもですね。私も時々、わかりますよ、中村さんが疲れてるの。
    私は狩野吉崖の「悲母感音」が好きで、本物は何度も見ました。観音像で無くても良いから、こういう絵を描いてみたいです。ダ・ヴィンチの「岩窟の聖母」も好きだから、「子を想う母の愛」は本能的に描きたくなるのでしょう。

    カラダ、本当に気をつけてください。たまにノンアルコールビールにするとか。お酒はカラダに負担になることもあるので、適度に。カラダが資本ですから。

  • yokoiijima

    2011年12月24日 at 7:49 AM | 返信

    すみません、狩野芳崖です。

  • jin

    2011年12月24日 at 12:09 PM | 返信

    おはずかしイ…。

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