Jin Nakamura log

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新宿Bohemian

車に同乗していた平成生まれのムスコ、父のiPotから流れる1980年代にヒットした葛城ユキの「ボヘミアン」に疑問符。意味を問われて「…ヒッピーみたいなものかな…」というテキトーな回答にさらに「???」。
実は自分もこの世代ではなく、当然こうした社会的ムーブメントに加担した実績もない。当時少年だった僕はお兄さんおネエさん方の特異な行動やスタイルをメディアで見て表面上うっすら記憶しているに過ぎないのだ。故にこうしてあらためて問われてみると的確に答えられる自信がない。
「ボヘミアン」≒「ヒッピー」という説は少々強引だろうが脱社会性のニュアンスはあながち遠くはないような気がする。とは言いつつも不正確な知識が気になり、ならば60年代に石を投げたような、その世代に直接聞いた方が早かろうと過日酒席で埒外?な諸先輩に話をふってみれば「ベトナム戦争」「三島由紀夫」から「カルチェラタン」「新宿騒乱」等々激動の時代の言葉が酒の勢いにまかせ流暢に飛び出す。都度馴染みのない単語やビミョーなニュアンスがつかめない言語については勢いづくオジサマたち(見た目は自分もいっしょだが)の会話を中断させつつ興味津々にていちいちチェック。時代を知る貴重な語り部より、失われつつあるフォークロアの蒐集をしている柳田國男の気分であった。
その後著名な民俗学者に負けじと30年以上時代を経た、かの地「新宿」のレクチャーというフィールドワークもきちんとこなして酔っぱらいは帰路につく。
*ちなみに「ヒッピー」とは「ベトナム戦争」を背景に愛と平和を提唱し脱社会的行動をとるアメリカの若者の間で生まれたムーブメント。Wikipediaによると日本ではフーテンと呼称された時期もあるらしい(イメージ的に寅さんとはだぶらないが…)。
*西口に通じる地下通路入口は最近まであった路地が過去の記憶を塗り込めるように封鎖され、ファッションブランドのロゴマークが「バリケード」に描かれていた。2002年に東京都知事により創設された大道芸人公認制度「ヘブンアーティスト」…大道芸に対してあまり寛容でない日本の事情には合いそうだが、お上の目をくぐってでも…とういアングラ的スピリッツも今は昔か…。
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直会

「なおらい」と読む。神事が終わって後、神酒・神饌をおろしていただく酒宴…と辞書に。 なかなか日本には良い言葉がある。「まれびと」をもてなさんと主筋が心をこめてしつらえた空間が、言の葉の持つ響きと相まって美しい。(御柱の続きです)
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秋も

諏訪は秋もこんな感じ。春に盛り上がった七年一度、式年大祭「御柱祭」は 、実はこうして秋も諏訪大社の摂社や末社、お稲荷様や天神様、小さな祠や屋敷神に至まで、あらゆるお宮でお祭りが行われているのです。9/23の秋分の日、昨夜来からの大雨の中、かの開高健も愛したという諏訪の酒蔵「真澄」に鎮座する「仁寿稲荷」のおんばしらに参加。春にも書いたが「おんばしら」は実際に見てなんぼ、できる事なら曵いてなんぼ。今回は同行したカメラマンクルーとともに法被と引き綱も支給されてかなり馴染んでいたはずである(…と自分では思っている)。この週末も諏訪各地で開催されているようなので公式サイト等で確認し体験してみてはいかが。
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中井

染めの街・中井(新宿区下落合)器スタジオTRYでの個展風景より。西武新宿線高田馬場駅より2つ目(各停しか止まらないので気をつけて)中井下車。改札を出てすぐ向かいの路地奥。茶トラのQちゃんが迎えてくれます。
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10911.jpg自分の個展情報も。9/18(sta)〜26(sun),*18,19在廊予定/ 20,21休廊 11:00am〜6:00pm
古くは染め物の街新宿区中落合の器スタジオTRY。このたび”渡来”デビューとなりました。小さな空間にセンスが凝縮されたようなギャラリーです。例によって中南米あたりから”渡来”してきたバナナやパイナップルのダンボール箱にパッケージされたMyマグなどを中心に。ハコだけでも見る価値あると思います(笑)。←いずれ画像でお見せしましょう…。

木村仁展

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名前が似てるでしょ。でも師弟関係ではあるが、襲名したわけではない。僕の鋳物の師匠・木村仁氏の個展情報。
HITOSHI KIMURA Exhibition HA-NE Project 9/11〜9/26 アートスペース FLAT FILE
9月12日(日)14:00~17:00 オープニングパーティー
1日早かったが搬入時に木村氏と会う。以前まつしろ現代美術フェスティバルに出展された直径2Mφはあろうかという鉄製絞り成形の羽碗は収まるところにところに収まった感があり迫力を醸し出している。同デザインの半磁器土泥漿(でいしょう)鋳込み成形の羽碗(エディションNo.6)を1つ購入。木村氏が信濃毎日新聞社の取材を受けている感にFLAT FILEモリヤ氏と次期「平成絵空事百珍」版画シリーズの出版計画について相談。詳細が決まりましたらまた告知致します。

松丸本舗

今回の新聞コラムの仕事に関わる以前から「日本語」には興味をもっていて、そのきっかけとなったのが「日本流―なぜカナリヤは歌を忘れたか」松岡正剛・著。松岡氏はなんでも”編集” してしまうことで有名で、興味深い著作が多い。先日都内で一番蔵書量が多い書店を知人に尋ねたところ、丸善・丸の内本店が良かろうということになって「な〜んだ八重洲の反対側にこんなイイとこあったんだー」とうろうろしてると何かのメディアで見た記憶のある不思議な展示空間に迷い込み、それが松岡氏ががプロデュースするショップインショップであった。その名も「丸善×松岡正剛=松丸本舗」。氏の30年におよぶ編集的方法と読書世界が出会ったひとつの実験空間…ということらしい。他人の脳ミソのぞくような感じで、またそれを押し売りされているような気がしないでもなく、ちょっとよけいなお世話感もあるのだが一度くらいのぞいてみるのも悪くはない。そうは言いつつ1冊購入しちゃったんだが。装丁家・杉浦康平『かたち誕生』…なぜか中国語版。まあとにかく尋常ではない読書術の持ち主であるなぁ。僕はといえば最近「有頂天家族」森見登美彦・著(僕ら身近なファンはモリミーと読んでいる)の文庫本を発見したので購入し、ついに3度目の読破となった。

音魂

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2009年4月より長野県の地元紙・信濃毎日新聞コラム「やまと言葉の倫理学」(竹内整一・鎌倉女子大教授/毎月第三土曜日掲載)の挿画を担当している。ぼくらが日常平易使用するなにげない日本語に込められた意味を、歴史風土的背景を考察しながらその成り立ち読み解く興味深いコラム。難しそうなタイトルだが、竹内先生の文章はわかりやすく自身も毎回楽しみにしている。僕の絵は挿画といても内容をビジュアル的に補完するものではなく、毎回先生が取り上げる「やまと言葉」からかってな連想をめぐらせ像を結んでいるというような類いのモノ。今回のお題は「たましい」。僕の絵の地タイトルは「音魂(おとだま)−Right wing」こんな感じです。

ART RESTAURANT 2010_VOL.3

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軽井沢ショッピングプラザイースト内フレンチレストラン「HEUREUX」にて食とアートのコラボ企画”ART RESTAURANT 2010″。3ヶ月間の「神林學」展 が終了し、9月からは「石垣むつみ◎版画とドローイング展」。両氏の搬出入もかねて企画担当者も含めてランチコースを予約。何しろ食とアートのコラボ企画なのでそちらも体感しとかなきゃ…ということで。2時間半かけての昼食という非日常。食文化の想像性、あらてめて堪能。まさにHEUREUXな気分です。