Jin Nakamura log

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とはいっても実はもう少し前に積雪はあったようだ。あくまでも僕が目視確認したのは今日ということ。でも南斜面だからすぐにとけちゃうんだけどね。明日は美場テラソ「紙に油絵!?」(講師:いいじまようこ)今年度最終講座です(ほぼ定員となってます…2〜3人なら当時参加OKかも)。信濃追分文化磁場「油や」も明日・明後日10/3(土)+4(日)がやはり今年度最終営業日となります。こちらもお見逃し無く!油やの紅葉は散り際の風情も含めて今が見頃。というわけで僕は土曜は小布施、日曜は軽井沢ナリ。

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最新情報:境内アートサイトリニューアルです→keidai-art.com

一過

6月の台風が過ぎ去ったあと、ソラの景色を仰ぐと自分は惑星に立ってるんだとあたりまえのことを実感する。道をゆけば折れ散らばった細かな枝や葉が昨夜来の突風で散乱しどことなくあたりは木々の体液のような匂いに充ちている。とくにモミやカラマツなどの針葉樹はその香りが強いようだ。以前山をよく知る友人が、一緒に黒姫を登ったとき疲弊した僕にモミの葉裏をこすって匂いを嗅ぐとミントのような香りがしてちょっとだけ気分がシャキっとなる…なんてことを教えてくれたことを思い出した。そんな彼もすでにこの惑星にはいない。台風の置きみやげでそんなことまで思い出すとは思わなかったのだが…。

仲春の句

今日などはかなり肌寒い一日でしたが、それでも仕事場のまわりは生々しい新緑に包まれてます。
というわけで季節はまさに晩春ですが投稿し忘れてた仲秋の句などを。
「すっぴんのガム噛むキミの春列車」
4月のアタマに京都から兵庫県を山陰本線で抜けて鳥取〜島根(出雲)にと初めて中国地方の日本海側を旅した時の一風景。長野から5回乗り換え、内ローカル線に2回。向かいの席に座り合わせた、たぶんジモティ女子高校生。犯罪ギリリギリな感じの(笑)観察の末つくっちゃた一句。かわいらしさと知性をあわせもって…しかもすっぴんで…って、状況を説明しょうとすればするほどなんかそんとき感じた爽やかさからどんどん遠ざかって、いやらしいオッサンっぽくなるのは何故? 
「春雨の音の届かぬ博物館」
この博物館は東博のことです。特に大きな企画展示ではなく、あえて人気の少ない常設展示の日に訪れてみました。実際にはその日は都内は春の大雪だったんですけど、静かに時間(歴史)が止まったような館内で昔人が今に残したブツをなにげに眺めていると、なんとなくこの世のさまざまな不思議を素直に受け入れい気分になるのでした。
「春光の反射かわして水のなか」
春になると毎年陶製の大きな睡蓮鉢に水を張ってヒメダカを放ちます。ヤツらの動きをみてると飽きないのだけれど光が反射して目にはさやかに見えねども…って感じです。川面でもそうですよね。キラキラ太陽光がまぶしく反射して水の中の世界が見えにくい。それをかわしてなんとなく垣間見える異世界がまたいとをかし…だったりするのです。

この後は珍しくもなし冬景色

昨日からの湿った空気は気づかないまま未明から雪にかわっていたようで…。すっかり畑仕舞いがすんで整地されたレタス畑が白くおおわれ、これからはこんな風景も珍しくもなくなる。

雪虫

「ゆきむしが飛ぶさびしい季節だね…」大学時代農学部の友人のつくった一編の詩の書き出し。今どき“詩”をたしなむ…などという学生などいるのだろうか。もちろんその頃だってずいぶん珍しい男だったが(ちなみにフランス人の男子は思春期に一度はハマるらしい…一応フラスン人から聞いた)。障子紙のようなものに朴訥な墨の筆でしたためられた彼の詩がなんとなく気になり頼み込んで貰い受け、オトナになるまで大切に持っていた。詩人・中原中也が好きだった彼は30代半ばでかわいい奥さんと小さな子どもを残して急逝する。遠方だったため葬儀には間に合わず後日自宅に焼香に伺ったさい、共通の友人でもあった彼の奥さんに渡すべく、大学時代に彼が書いたその詩の紙片を持参した。和紙は十数年の時を経て少々黄ばんではいたが二十歳前後のピュアな感性は色あせずそこに刻まれていた。僕は“ゆきむし”というモノも言葉も彼の詩を読むまで知らなかった。北国の言葉らしいのでどちらかというとあたたかい地方の彼よりも僕の方が知っていてもよさそうだったのに。

今日“雪虫”を見た。そしてたぶん毎年その季節になると彼のことを思い出す。

そんな思い出に浸らずともたしかにこの季節はどこかセツナイ。しかし最近ハマってる養老先生にかかるとこの手の感情…例えば愛とか恋とかも全て身もフタもない話になってしまう。恋はビョーキと看破する。結婚すれば治るんだと…それができれば皆さん苦労はないのだが、どうも医者はとりあえずなんでも治療したがるってことらしい。そのままでもいいのに。[recently books]「脳と魂」対談/養老孟司+玄侑宗久