Jin Nakamura log

17年越しの大作。全4巻/原稿用紙2400枚分は約2週間ほどで読み終えている。最近活字を追うスピードが少しだけ早くなってきたような気がする。作者の作品は10年ほど前に読んだ「上弦の月を喰べる獅子」以来2作目…いや、陰陽師シリーズもちょぼちょぼかじってるか…あ、「黒塚」もそいうえば…ってまあ伝奇モノは大好きなので、けっこうハマるテーマはあるのか。ちなみに獏さん以外だとこの分野「竜の棺」高橋克彦、「産霊山秘録」半村良あたりは傑作。
さてくだんの「沙門空海…」。司馬先生の「…風景」を読んだかぎりでは小説化は困難かと思われたが、意外とあっさり「陰陽師」の清明と源博雅みたいなノリで空海と橘逸勢のコンビでキャラ立て完了な感じ。ちと拍子抜けなほど普通にフィクション化であった。高野聖の流伝効果以来、あまりに神格・伝説化されすぎてなかなかリアルなイメージが結べない密教八祖大阿闍梨の実像。”神”になっちゃうとなかなかキャスティングとか難しいでしょ、実写版とか特に。ふと思ったが、そういう意味では1970年代に制作・上演された、聖書を題材にイエス・キリストの最後の7日間を描いたロックミュージカル「Jesus Christ Superstar」などはよくぞやりきった感はある。ブロンド長髪・痩身男性であればおしなべてジーザス顔を連想してしまう異文化の僕らにとってはソコソコ楽しめた娯楽大作ではあったが、さてどうだろう。同じ(?)グローバルピープルとして「Legend of KUKAI」映像化はいかがなものか…。

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「豆蔵」byMINIKURARTは信州大学教育学部美術科学生によるクリエイティブユニット。門前の土蔵を工房として活動。土日は長野のアーティストの作品展示とワークショップを開催。土蔵=豆蔵は「まめぞう」ではない、だから珈琲などもでてこない。「まめぐら」と覚えてください。素敵なアート空間に育つといいな。ARTとモノツクリに興味のある方、是非お立寄を!

薔薇の会

10618.jpg怪しい会ではない。6月、梅雨前あたりに毎年その花を愛でながら、亭主心尽くしの料理などいただきつつ大人の会話を楽しむ会である。昨年は若干ハードルが上がり句会という趣向となったが(逃げたわけではないが都合がつかず自分は不参加)今年はまたいつものお気楽モードに戻る。それでも参加者のギャラリーオーナー発端の「連歌」の話題でひとしきり盛り上がるあたり大人の社交場的性格は健在か。「俳句」は我流もいいところだが嫌いではない…が、「連歌」となるとこれまた未知なる世界。その名からも想像はつくように、一定のルールに従い数人で句を詠み継ぐらしいのだが、前者の意図を読み解き、その心をおもんぱかってさらに後者につなげる「縮み」の世界はまさに日本人らしいアソビの文化と言うところか。興味はあるがかなり気を使いそうなのでしばらくは知識としてとどめ置くことにしたい。
さて、ここ半月ばかりの連想ゲーム式マイブーム(空海→大唐→長安→漢詩…みたいな)から得たホヤホヤの知識で恐縮だが、中国で花といえば「牡丹」なのだそうな。確かに大陸の風景には、我が国で言うところの「花」…例えばソメイ村原産の小さな五弁のカサナリなどよりも大輪でふくよかな、かの花がしっくりときそうである。「縮み」も好きだが「膨らみ」も良い。俳句も詠みたいが漢詩も吟じてみたい。一度長安(西安)には行ってみたいものだ…などと桜でも牡丹でもない薔薇を愛でつつそんなことを思っている。

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自分の個展情報も。
2010,7.12(月)→7.18(日)11:00am→7:00pm(最終日4:00pm終了)
古今東西・花鳥風月に混じっておどるありえないキャラたち…
九谷五彩の今様錦手とスクリーンプリント転写による不思議印判手。
うつわに描かれた平成絵空事百珍をお楽しみに。
開催場所:銀座煉瓦画廊(現在改修中の歌舞伎座の築地よりです)
東京都中央区銀座4-13-18医療ビル2F TEL/FAX03-3542-8626
*今回は色絵陶器の仕事を中心に展示いたします。今回はマグカップとぐい呑みにオリジナルリサイクルの面白ダンボールボックスをご用意する予定です。こちらもお楽しみに!

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境内アートにも参加いただいた佐藤比南子氏、個展情報(ちょっと先だが)。
「旅するフェルト」
2010年8月30日(月)−9月4日(土)
12:00−19:00(最終日17:00)
巷房2&階段下
巷房 東京都中央区銀座1−9−8 奥野ビルB1F
☎03−3567−8727
会場の奥野ビルは銀座でも貴重なレトロビルです。今時珍しいアナログ階上表示のエレベーターをはさんで左右対称の造りの中にいくつものギャラリーがテナントで入居。特に巷房階段下は一見の価値有り。
*DM制作:Pivot/カラー面Photo:JIN nakamura

ムダなモノ

昨日オープニングパーティーを紹介したNAGANO ART FILEには様々なジャンルの作家が登場している。ボンクラメンバーの建築家広瀬氏もその一人。ご自身の描きためたアイディアブックをそのまま古い天井板にプレゼンしたものであったが、同じくボンクラメンバーでScene Designの宮本氏の解説によると、件のラフスケッチは”アンビルド建築”なのだとのこと。 アンプラグド…じゃなく”unbuild”。「建てられない」あるいは「最初から建てることを前提としてない」建築デザインというほどの意味らしく、建築家は往々にしてそうした物件に向き合いたくなるらしい。将来完成を見ないという意味では、まったくムダな作業なわけだが、こうした”無駄”もしくは”ムダな努力”ほど人間を成長させ、また豊かにしてくれるものはないと心得ている。「何かのタメになる」という言葉に惑わされてはいけません。役に立ちそうもないことにどれだけ真剣(ココがポイント)に取り組めるかが重要です。

opening party

長野市桜枝町味噌蔵三原屋東入ル。 京都風に言うとこんなんか。先日来当ブログにも登場回数多しのFLAR FAIL/NAGANO ART FAIL 2010展オープニングパーティーに寄らせてもらう。このアートスペースには路地に面して”縁側”がある。「縁の側」相対する二つのサイドを”えにし”で結ぶ心地よいボーダー。道を行き交う人々とアーティストの作品を”縁側”がつないでいる…そんな風にも見える。路地の道幅の距離感もいい。向かいの味噌蔵の広い壁の包容感もいい。ふしぎな磁場力がそこにある。そしてなんかやたら子どもの気配が多い。ヤツらはこういう環境で育つんだな…と思った。どんな大人になってくれるのかな…。
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空と海

空と海…って、すごい名前だなといつも思う。結局「空海の風景」下巻は見当たらなかったので図書館で借りた。上巻は文庫本だったので、上製本四六判がこんなに文字が大きく読みやすいものかと感心しきり。さて空海という天才…司馬ちゃん言うところの希代の「人類的存在」。その姿を文字で追うにつけ、”天才” とは単にそれぞれの分野の秀でた能力というよりは、常軌を逸した”努力”を平然とやってのけるチカラだと改めて感ずる。マイブーム”空と海”はしばらく治まる気配無し。次回貸し出し予定は「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」全4巻/夢枕獏・著。入唐後、かの大陸の地を舞台にした壮大なお話と思われるが、周到な考察に基づく「…風景」読破後なので予習は万全かと。

ART RESTAURANT 2010_VOL.2

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以前紹介した軽井沢ショッピングプラザイースト内フレンチレストラン「HEUREUX」にて食とアートのコラボ企画”ART RESTAURANT 2010″。5月いっぱいまでの私の版画展が終了し、6月からの3ヶ月間は神林學◎彫刻展「バードマン」。和紙の羽でレストランを飛んでます。

画像up

先日紹介した「旭山麓世界大相圖」墨版朱版の拡大画像を当サイトWORK_PRINTSにUPした。古和紙等のディテールがだいぶわかると思います、ご照覧あれ。さて旭山麓はそんな感じですが、こちら浅間山麓は低気圧の影響か終日霧がたちこめ気温が低く、ストーブ使用。これから梅雨時、侮れないんです。