沙門空海唐の国にて鬼と宴す
- By jin
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- On 22 6月 | '2010
17年越しの大作。全4巻/原稿用紙2400枚分は約2週間ほどで読み終えている。最近活字を追うスピードが少しだけ早くなってきたような気がする。作者の作品は10年ほど前に読んだ「上弦の月を喰べる獅子」以来2作目…いや、陰陽師シリーズもちょぼちょぼかじってるか…あ、「黒塚」もそいうえば…ってまあ伝奇モノは大好きなので、けっこうハマるテーマはあるのか。ちなみに獏さん以外だとこの分野「竜の棺」高橋克彦、「産霊山秘録」半村良あたりは傑作。
さてくだんの「沙門空海…」。司馬先生の「…風景」を読んだかぎりでは小説化は困難かと思われたが、意外とあっさり「陰陽師」の清明と源博雅みたいなノリで空海と橘逸勢のコンビでキャラ立て完了な感じ。ちと拍子抜けなほど普通にフィクション化であった。高野聖の流伝効果以来、あまりに神格・伝説化されすぎてなかなかリアルなイメージが結べない密教八祖大阿闍梨の実像。”神”になっちゃうとなかなかキャスティングとか難しいでしょ、実写版とか特に。ふと思ったが、そういう意味では1970年代に制作・上演された、聖書を題材にイエス・キリストの最後の7日間を描いたロックミュージカル「Jesus Christ Superstar」などはよくぞやりきった感はある。ブロンド長髪・痩身男性であればおしなべてジーザス顔を連想してしまう異文化の僕らにとってはソコソコ楽しめた娯楽大作ではあったが、さてどうだろう。同じ(?)グローバルピープルとして「Legend of KUKAI」映像化はいかがなものか…。

怪しい会ではない。6月、梅雨前あたりに毎年その花を愛でながら、亭主心尽くしの料理などいただきつつ大人の会話を楽しむ会である。昨年は若干ハードルが上がり句会という趣向となったが(逃げたわけではないが都合がつかず自分は不参加)今年はまたいつものお気楽モードに戻る。それでも参加者のギャラリーオーナー発端の「連歌」の話題でひとしきり盛り上がるあたり大人の社交場的性格は健在か。「俳句」は我流もいいところだが嫌いではない…が、「連歌」となるとこれまた未知なる世界。その名からも想像はつくように、一定のルールに従い数人で句を詠み継ぐらしいのだが、前者の意図を読み解き、その心をおもんぱかってさらに後者につなげる「縮み」の世界はまさに日本人らしいアソビの文化と言うところか。興味はあるがかなり気を使いそうなのでしばらくは知識としてとどめ置くことにしたい。


