軸装
- By jin
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- On 22 2月 | '2018
柔道家・一条直也なら鉄下駄を、星飛雄馬なら大リーグボール養成ギブスを、悟空が修行するなら10倍重力の界王星で。少年漫画の世界ではいつの時代でもアスリートはありえないような負荷をかけてこそ成長するもの。
僕もアスリートではないけれど仕事中は右手に面相筆を持ち、左手でメス猫の攻撃をかわしながら画業に励む。ちょっとでも気を抜くと集中して運筆している右手の筆先に彼女は的確なフックをくりだしてくるので上手に牽制しながら筆をすすめる。
きっとこれを繰り返していると、猫の乗っていない画布上で僕はいつか神妙の域に達する絵を描けるのでないだろうか…。それにしても伊勢海老に興味津々の小丸(メス猫)。すでに猫をしてホンモノのエビと見紛うばかりの画力に達したか、否エビはそもそも猫にとって有害と聞くからやはり興味は別なところにあるか。
小丸の「しごとばにいれてくれよぅ〜」オーラにまけてついつい扉を開けてしまう僕はしばらくはこの負荷画法を続け、いずれ絵の究極奥義に近づこうと思ふ。
*制作中の作品は目黒雅叙園「猫都の国宝展」at百段階段(3/28〜5/13)出展予定作品・猫派三宝のうち「珍宝・開運縁起物圖」
最終日前日だったから仕方ないのだけれど公式図録はすでに完売とサイトにあったので、残念だが今回は荷物にならないからまあいいかと思っていたのにミュージアムショップには公式図録以外の生賴範義関連の画集が山積みされており結局2冊も購入してしまった。
僕は正直この画家の仕事はよく知らなかった。もちろん友人の画家・オーライタロー氏の父上であり著名なイラストレーターではあるので、どこかで彼の仕事を原画という機会はなくとも、何かしらのメディアでは見ているんだろうな…とは思っていたが、まさかアレもコレもエー、そんなものもーということで改めて自分の不勉強さを反省。
タロー夫人からは「お腹いっぱいになるよー」と言われていたのだが、まさにそのプロフェッショナルな仕事に感腹(服)。筆一本で生き抜いてきた凄みに感じいった。
仕事のほとんどはクライアントがいる受注仕事なので、当たり前だがテーマや素材・モチーフといったものには当然制限(要望・要請・ときには時間も)があり、それを確かな技術と感性でクリアしていくのが仕事になるわけだが、この仕事形態は中世あたりまでは美術業界では至極普通でイラストレーターだろうが画家だろうが同じ事だ。この手の請負仕事とピュアに内発的衝動のみで生み出された作品においてその表現性には優劣など本来ない。
例えば安土桃山あたりから頭角を現す狩野派などはそのモチーフも制作手法も表現集団として極めて様式化されてはいくが、そのクライアントは信長・秀吉・家康と続く戦国武将たちであるから、ある意味命がけで絵を描いている。「ちょろっとパッションでこんなんできちゃいました〜」なんて信長さんち(安土城)の襖に描いちゃったら首がいくつあっても足らないのだ。命がけで絵を描くのだからそりゃ後世に国宝にもなろう。
近世の幕開けとともにARTは自由を手に入れ始めた。金箔の地に大きな松を描かなくても良くなったし、聖書の一場面を正確に再現しなくても良くなった。自らの感性に寄り添って、光にきらめく睡蓮や情熱的なひまわりを描き始める。でもその自由と引き換えにクライアントを失い、絵を描いたり彫刻を作ったりしながら生き抜く事が簡単なことではなくなったのも事実。
生賴範義の仕事はそんな中で表現者としての一つの生き様を提示してくれている。もちろん一人一人ちがっていいし同じ事はできないが、あれだけの仕事(質・量ともに)を潔く描き残した画家の79年の生涯をこの機会に垣間みれたことは自分にとってはラッキーなことだったかもしれない。
余談だが友人・オーライタロー氏がなんで漢字の「生賴」の表記にしなかったのかちょっとわかった気がした。…あくまでも気がしただけであり、単に漢字が読みにくいということだけかもしれないけれど。
2o17,11/11(土)〜25(土)open 1:00pm〜7:00pm (会期中・水木休)
会場:路地裏不思議店 irodoriya.
東京都渋谷区円山町14-11 ニューライオンズ渋谷102
TEL/FAX 03-3462-2321
なんとなく古伊万里、びみょーに古九谷。 美術家・ナカムラジンの古典でポップな面白色絵陶磁器。 今回は手描きTシャツ・Neo仏画版画も登場します。
いろどりやまblogy★展示風景載ってます!
KaNAM Challenge Wall 11
NAKAMURA JIN EXHIBITION
2017 10/11(木)〜12/4(月)
一般財団法人 軽井沢ニューアートミュージアム1F(入場無料)
〒389-0102 長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢1151-5
本日7/27(木)〜8/6(日)まで、信州諏訪の銘酒蔵元・宮坂醸造「真澄」蔵元ショップ Cella MASUMI(セラ真澄)松の間にて、真澄アーティストラベル2017発売記念・ナカムラジン展[偶像寓意花鳥圖譜]が始まっております。
諏訪は日本最古の神社の1つといわれるほど古くから存在する全国諏訪神社の総本山・信州一宮「諏訪大社」4社(上社/本宮・前宮 下社/春宮・秋宮)があります。有名な国譲り神話の中で、後のヤマト政権・天津神勢力と唯一激しく抵抗、戦った出雲系の武神・建御名方神が鎮座され、4社ともそれぞれに異なった独特の雰囲気を持っています。また建御名方神が信州に渡る以前の諏訪地方の土着神・ミシャクジ神の信仰には、より原初的なニュアンスも加わり、同じ土地にさらに時代を遡る日本有数の縄文文化の痕跡も感じることができます。とにかく諏訪は原初的で不思議な場所なのです。ちょっと勝手に諏訪観光大使みたいになっちゃいましたが、機会がありましたらパワースポット巡り方々展覧会にもお出かけください。
*MASUMI Artist Label 2017に使用された原画作品は7/29から開催のN-ART展(ガレリア表参道・長野市)に8/5より展示されるため、今回の展示は8/4までとなります。ご了承ください
文藝春秋8月号の目次挿画を担当させていただきました。画角がとても横長なので、お話をいただいたとき、どんな絵にしようかちょっとだけ考えちゃいましたが絵巻物みないで楽しかったです。異なる時間を一つの構図の中に描き込む異時同図法みたいなのも今後はやってみても面白いかもしれません。
タイトルは「海幸講」、この季節にはピッタリです。海の彼方から蛸・龍・伊勢海老・鯛・鰹・宝舟などがやってきます。一方、山からは大きな桃が…。
7/10発売です。よろしかったら書店にてどうぞ。
ご縁があり、2009年より信州諏訪の銘酒・宮坂醸造「真澄」さんの総合パンフレットの表紙画を描かせていただいます。また2013年より美酒とアートのコラボレーションプロジェクト「MASUMI Artist Label」の企画にも携わる機会もいただき、長野県ゆかりの美術家が地元の銘酒のラベルを飾るという素敵なプロジェクトのお手伝いも続いております。
ということでこの件につきましては基本的に裏方で、まさに橋渡し的な役回りと心得、でもちゃっかり10年目くらいにはチラッと僕も〜登場できたらな…的な感じで密かに目論んではおりましたですが、なんと10周年の前に5周年というのもあるらしく、ひとつの区切りとして“キミやってみなさいと”の成り行きに相成りまして、僭越ではございますが私ナカムラがこの度、ラベルデザインを担当すとことなり…なんて結婚式のスピーチみないな挨拶はさておき、手前ミソ+お手盛り的て恐縮ですがなんかホントいい感じで仕上げていただき、ここにパッケージ写真を公開して感謝申し上げる次第。
+以下に真澄蔵元・宮坂直孝氏のメッセージを添えて紹介いたします。
真澄Artist Labelへの想い◎諏訪で生まれ、諏訪の風土と人に育まれた真澄。この愛すべき故郷をもっと魅力的にしたい。美しい景色、美味しい食べ物、そして楽しい出来事にあふれた街にしたい。非力な田舎酒屋がこんな夢を抱くのが荒唐無稽なのは百も承知。しかし、蒔かない種は花を咲かせません。できることから一つずつ積み重ねて行きたいと、アーティストラベルプロジェクトをスタートさせました。美酒とアートの協奏をお楽しみいただければ幸いです。(真澄蔵元 宮坂直孝)
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【MASUMI Artist Label 2017】 価格 ¥2,376(税込)アルコール分13度。軽やかで飲みやすいタイプ。香り高く上品な味わいです。お求め先については真澄ウェブサイトをご覧ください。
真澄アーティストラベルは「真澄」とArt Project 沙庭の共同企画です。
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真澄アーティストラベル2017発売記念
ナカムラジン展[偶像寓意花鳥圖譜]
2017,7月27日(木)→ 8月6日(日) open 9:00〜18:00
会場◎蔵元ショップ セラ真澄 [松の間]