Jin Nakamura log

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ボールはトモダチ

翼クンならそう言うところ。

アルミ版はトモダチ!…になれるんだろか…思った以上にやっかいなヤツだった。描画材も限られてるしな(さっそく道具のせい)。で、結局一日じゃできんかった。明日また公開制作の名の下に油や持ち込みだー。しかしなんでこんな絵になったんだろ、ふしぎだ。

描画開始

1日かけて下絵の転写作業。シャーペン握りしめつづけて指痛ってー。この後とき炭やらで描画してくんだけどできんのかいな?目立てされてるから多少のざらつき感があるが、そうは言っても金属版、紙に描くような筆先に馴染む感じがない。方法は2つ、ソレとお友達になるか、強引に克服しちゃうか…今のところとても気負ってるので後者を選択の予定だが、また途中でま、いっかってなって、やっぱトモダチになろーよーって言いだすかも。

中旬メドに描画終了をと作家各位に伝えてあったのにもかかわらず、ゴメンナサイ。私今日からアルミ版に向き合う…といっても本日は下絵制作のみでおわっちゃった。明日以後2日で完成させて月曜には梅田氏に手渡す予定。…しかしあらためてでかいな版面、普通のタブローだったらさほどでもないんだが版画となると描き応えが…ま、がんばりますワ。

油やプロジェクトART PROJECT沙庭は明日展示替えとなり、いよいよ9月からは「たかはしびわ+吉村正美展」が始まります。よい意味で(2度書きますが、よい意味で…)ヘンタイ的な芸風なお二人。僕は好きです、乞うご期待!で、少々早い情報ですがその次、10月の企画「Lithograph-Black & White 5-Artists 2012」の準備がすでに始まっております。

僕個人としても大変お世話になっていますリトフラフの刷り師・梅田さんにこの度全面協力をいただき実現した企画。イメージサイズ・描画方法・用紙・刷り色等を統一規格とし、同条件の中でガチで参加作家の個性的な表現と描画力を際立たせるちょっとスリリングな競演企画というわけです。

参加作家は小山利枝子+いいじまようこ-玻那+ビオンディ・チョッパー+ホントは、たかはしびわとくるところだったのだけれどびわ氏は諸事情により2013年参加といことになり、いちおう保険でとっといた企画者本人のナカムラジンが急遽まさかの5人目のピースとして参加というイレギュラーな事態。今回はプロデューサーとして高みの見物と目論んでいたのにどないしましょ(汗)…。

すでに3人の女性アーティストは梅田版画工房にてレクチャーをすませ、それぞれの手元には格闘用の刷版も届き各自制作に着手…という段取り。残る二人チョッパーくんと僕が本日工房に赴き試作。自分で決めたこととはいえイメージサイズ:62×73cmのアルミ版は実際に手にしてみるといやはや大きく描きがいがあるなんてものじゃないですな。これを自分の手を汚さずひとにやらせて、興がのればエラそーにダメだしのひとつも…なんて不遜な計画を秘かにねっていたわけですから、当然プレッシャーもひとしおです。ま、そんな裏事情も含めて楽しんでいただけたら企画者としては本望でしょうか(作家としては……ですが)。

ちなみに本日の試作。写真下左がチョッパー氏、右がjin3。いずれも描画直後、製版前の状態です。

マッチラベル蒐集家・加藤豊とアーティスト・なかむらじんのマッチ・コラボレーション。明治という近代に突如出現した痛快無比な商標マッチラベルデザインの数々。その独特の意匠・キャラクター、 和洋文字、 装飾の絶妙さは現代のブランディングをかるく凌ぐ !?
てなコピーで始まるコラボ展。かなりチカラ入ってます。今回相方の加藤氏も経験豊かなグラフィックデザイナーなんですが、お前がやれ…ということでDMデザインはナカムラが担当。6/1〜7 丸善丸の内本店4FギャラリーA(東京駅出てすぐのオアゾです)。かなり濃い〜ィ世界だと思いますが新作リトグラフ10点まずは思いっきりやりきりたいと思います。お出かけくださいね。
作品解説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「応化利生」
 昔、信濃の国、小県の里に心が貧しい老婆がいました。ある日、軒下に布を干していると、どこからか牛が一頭やってきて、その角に布を引っかけて走り去ってしまいました…とは有名な説話「牛に引かれて善光寺参り」の一節。江戸時代、善光寺信仰と共に広く全国に知られることとなるこのお話の中で、その後老婆は牛が観音菩薩の化身であることに気付き、菩提の心を起こして信心し、やがて極楽往生を遂げます。
 仏教ではまず真理そのものとしての如来が存在し、その真理を人々に教え解く菩薩、そしてそれでも救われない者たちのためには憤怒の形相をもってあたる明王までが控え、これら三様全てが仏の顕われ方であると言う考え方があるようです。このように世界の他の宗教では考えられないほどの救済キャラの豊富さを誇りますが、中でも件の老婆に手を差しのべた観音菩薩はさらに全ての衆生を救わんと、その変身ぶりはまさに多彩。救うべき相手の性格や考え方、社会的地位などにも細やかに対応して事にあたる姿勢は、誰一人も洩らさず救わんとする覚悟の顕われとも言えるでしょう。
 「応化利生」…仏や菩薩が衆生を救うためにいろいろに姿を変えて出現し、利益を与えること。となれば草木、虫魚、動物に至るまで、我々は絶えず救いの芽に囲まれている生きているということか。にもかかわらず日々さして褒められものしない素行をくり返す我が身に反省しきり。
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作品解説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「花回向」
 古来より7777枚あるといわれている参道の石畳を踏みしめて、たどり着いた本堂前で出迎えてくれるのは、大香炉の上で少々恐ろしげな顔で睨みをきかす狛犬。ご利益があるとはいえ終日お香の煙に燻されてはこの表情も致し方無し。数え年で7年に一度、とりおこなわれる「善光寺前立本尊御開帳」の期間中、松代町から奉納される「回向柱」が、この大香炉の直前に立てられます。回向柱には前立御本尊の右の御手に結ばれた金糸が善の綱となって結ばれ、柱に触れる人々に仏の慈悲を伝えてくれます。
 この有り難い結縁のシステム、実は7年待たずとも「戒壇巡り」として常時用意されています。本堂内々陣の奥より、瑠璃壇床下へと続く回廊。ひとたびそこに足を踏み入れれば、現世ではおよそ体験でき得ないような”真の闇”と向き合うこととなります。回廊中程に懸かる御本尊様とつながれた極楽の錠前に触れることで、秘仏「善光寺如来」と結縁を果たします。コの字型に一周してくるだけの道程ですが、永久の冥界を巡るが如きの疑似体験。回廊に射し込む出口の光を見つければ現世に戻ったほどの喜び。
 御開帳は春遅い信州の花の季節と重なります。本堂東に広がる城山公園は桜の名所。”闇と華”を目と鼻の先で体感できるのも、ここ善光寺の魅力かもしれません。
相変わらずブログも全く更新せずに何をやっていたかというと以下の如し。
一昨年から思うところあって始めた「平成絵空事百珍」。No.001〜004までは樹脂凸版なる方法を思いつき、なんとか自費自刷り制作を試みたが、この度7年に1度の好機を迎えて…というか便乗して、通しNo.005〜010の6点分を、版元・川辺書林梅田版画工房の絶大なる協力を得て、地元の古刹、国宝善光寺へのオマージュを込めて刊行の運びとなったという次第。明日より順次公開致します。もちろん予約販売受付中。
仕様:リトグラフ4色4版(刷り・梅田版画工房)/和紙・生漉自然色版画用紙)/37×27cm/6種・各エディション50部限定/シート価格(税別):15,000円
作品解説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 「一光三尊」
 一つの光背の前に中尊と脇侍の菩薩が立つ”一光三尊像”の特徴を持つ秘仏「善光寺如来」。現在我々はその姿を映すとされる、前立本尊に7年に一度まみえることかなうのみです。
 平安時代の歴史書「扶桑略記」によれば、欽明天皇13年(552年)仏教公伝とともに最初に日本に伝わった仏像がこの善光寺三尊仏だとか。この説の通りだとすると飛鳥時代、日本の仏教彫刻史上記念碑的作品であり、聖徳太子ゆかりの法隆寺「釈迦三尊像」(止利仏師)よりもさらに100年ほど古く伝わっていることになります。確かに中尊阿弥陀仏の左手は、人差し指と中指のみを下げて伸ばす「刀印」で飛鳥・白鳳時代の特徴。法隆寺仏とも合致していてとても珍しいもの。
 ことの真相は歴史学者に任せるにしても、遠く天竺より百済を経てこの国に伝わった最古の仏像がこの信州に今も在るとされ、その本来の姿を心に想像しつつ、三国伝来の時より1500年を越えて今なお多くの信仰を集め続けている不思議な力を感じざるを得ません。
 本堂背後の光背には秘仏をイメージして中尊の「刀印」と「施無畏印」のみ。さらに脇侍の観音菩薩と至勢菩薩それぞれを表すとされる梵字にて表現してみました。
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