平成絵空事百珍「一光三尊」
- By jin
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- On 31 3月 | '2009
相変わらずブログも全く更新せずに何をやっていたかというと以下の如し。
一昨年から思うところあって始めた「平成絵空事百珍」。No.001〜004までは樹脂凸版なる方法を思いつき、なんとか自費自刷り制作を試みたが、この度7年に1度の好機を迎えて…というか便乗して、通しNo.005〜010の6点分を、版元・川辺書林と梅田版画工房の絶大なる協力を得て、地元の古刹、国宝善光寺へのオマージュを込めて刊行の運びとなったという次第。明日より順次公開致します。もちろん予約販売受付中。
仕様:リトグラフ4色4版(刷り・梅田版画工房)/和紙・生漉自然色版画用紙)/37×27cm/6種・各エディション50部限定/シート価格(税別):15,000円
作品解説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「一光三尊」
一つの光背の前に中尊と脇侍の菩薩が立つ”一光三尊像”の特徴を持つ秘仏「善光寺如来」。現在我々はその姿を映すとされる、前立本尊に7年に一度まみえることかなうのみです。
平安時代の歴史書「扶桑略記」によれば、欽明天皇13年(552年)仏教公伝とともに最初に日本に伝わった仏像がこの善光寺三尊仏だとか。この説の通りだとすると飛鳥時代、日本の仏教彫刻史上記念碑的作品であり、聖徳太子ゆかりの法隆寺「釈迦三尊像」(止利仏師)よりもさらに100年ほど古く伝わっていることになります。確かに中尊阿弥陀仏の左手は、人差し指と中指のみを下げて伸ばす「刀印」で飛鳥・白鳳時代の特徴。法隆寺仏とも合致していてとても珍しいもの。
ことの真相は歴史学者に任せるにしても、遠く天竺より百済を経てこの国に伝わった最古の仏像がこの信州に今も在るとされ、その本来の姿を心に想像しつつ、三国伝来の時より1500年を越えて今なお多くの信仰を集め続けている不思議な力を感じざるを得ません。
本堂背後の光背には秘仏をイメージして中尊の「刀印」と「施無畏印」のみ。さらに脇侍の観音菩薩と至勢菩薩それぞれを表すとされる梵字にて表現してみました。