Jin Nakamura log

Posts in the 未分類 category

境内アートおぶせ

4月18・19日、春の恒例「境内アート」。北信濃小布施、曹洞宗陽光山玄照寺にて、本年も桜舞う中、盛大に催されました。秋の「アート&クラフトフェアおぶせ」と合体する形で、例年の苗市に骨董市も加え、展示エリアも参道〜境内〜どんぐり千年の森まで拡大しての開催です。
参加者も年々増え、今年はアート部門40組・クラフト部門70組という内訳。僕の担当のアート部門では恒例のエセ茶人による薄茶の席に加え、今回初めてのこちらは本物のお煎茶の社中の皆さんによるお手前も体験できました。また現役美大生の参加もめだち、昨年に引き続き野焼きワークショップも好評。さらに一般来場者+出展作家の投票による「境内アート選抜展」(おぶせミュージアム)も20〜28日まで、これまでの境内アートの紹介も兼ねながら開催されておりますので、是非お運びください。
09keidai1.jpg
作品解説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「如是転生」
 この山国に伝わる縁起は遠く7千キロ以上も離れた天竺・毘舎離国から始まります。何故に信州とインド?と言われても昔話とはそう言うもの。月に行ったり、海に潜ったり、タイムスリップする話に比べたら、かなり現実的な方かもしれません。もっとも本編にも月や竜宮は登場しますけど。
 そのまさに”月”のような大きな蓋で信心の心を閉ざした月蓋長者という大富豪の娘”如是姫”に降り掛かる悲劇が事の発端。大林精舎にてまだ人として生きていた釈迦を頼り、阿弥陀如来の加護を得て姫と国中の人々をが救われた後、改心して贅沢にも釈迦・阿弥陀の両者の共同作業で造ってもらったのが、秘仏・善光寺如来という訳です。
その月蓋長者、仏教世界の大技「輪廻転生」により後に百済の聖明王、そして更には善光寺の名の由来となった本田善光となって生まれ変わり、善光寺如来がこの山国に移っていく話を展開していくわけだから、やはりタイムスリップの要素も十分と言うところでしょうか。結局壮大なお話には間違いなさそうです。
zen6.jpg
作品解説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「応化利生」
 昔、信濃の国、小県の里に心が貧しい老婆がいました。ある日、軒下に布を干していると、どこからか牛が一頭やってきて、その角に布を引っかけて走り去ってしまいました…とは有名な説話「牛に引かれて善光寺参り」の一節。江戸時代、善光寺信仰と共に広く全国に知られることとなるこのお話の中で、その後老婆は牛が観音菩薩の化身であることに気付き、菩提の心を起こして信心し、やがて極楽往生を遂げます。
 仏教ではまず真理そのものとしての如来が存在し、その真理を人々に教え解く菩薩、そしてそれでも救われない者たちのためには憤怒の形相をもってあたる明王までが控え、これら三様全てが仏の顕われ方であると言う考え方があるようです。このように世界の他の宗教では考えられないほどの救済キャラの豊富さを誇りますが、中でも件の老婆に手を差しのべた観音菩薩はさらに全ての衆生を救わんと、その変身ぶりはまさに多彩。救うべき相手の性格や考え方、社会的地位などにも細やかに対応して事にあたる姿勢は、誰一人も洩らさず救わんとする覚悟の顕われとも言えるでしょう。
 「応化利生」…仏や菩薩が衆生を救うためにいろいろに姿を変えて出現し、利益を与えること。となれば草木、虫魚、動物に至るまで、我々は絶えず救いの芽に囲まれている生きているということか。にもかかわらず日々さして褒められものしない素行をくり返す我が身に反省しきり。
zen5.jpg
作品解説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「花回向」
 古来より7777枚あるといわれている参道の石畳を踏みしめて、たどり着いた本堂前で出迎えてくれるのは、大香炉の上で少々恐ろしげな顔で睨みをきかす狛犬。ご利益があるとはいえ終日お香の煙に燻されてはこの表情も致し方無し。数え年で7年に一度、とりおこなわれる「善光寺前立本尊御開帳」の期間中、松代町から奉納される「回向柱」が、この大香炉の直前に立てられます。回向柱には前立御本尊の右の御手に結ばれた金糸が善の綱となって結ばれ、柱に触れる人々に仏の慈悲を伝えてくれます。
 この有り難い結縁のシステム、実は7年待たずとも「戒壇巡り」として常時用意されています。本堂内々陣の奥より、瑠璃壇床下へと続く回廊。ひとたびそこに足を踏み入れれば、現世ではおよそ体験でき得ないような”真の闇”と向き合うこととなります。回廊中程に懸かる御本尊様とつながれた極楽の錠前に触れることで、秘仏「善光寺如来」と結縁を果たします。コの字型に一周してくるだけの道程ですが、永久の冥界を巡るが如きの疑似体験。回廊に射し込む出口の光を見つければ現世に戻ったほどの喜び。
 御開帳は春遅い信州の花の季節と重なります。本堂東に広がる城山公園は桜の名所。”闇と華”を目と鼻の先で体感できるのも、ここ善光寺の魅力かもしれません。
作品解説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「四門四海」
 古えより、四門四額と称して、東門を定額山・善光寺、南門を南命山・無量寿寺、北門を北空山・雲上寺、西門を不捨山・浄土寺と伝わります。このように仏教では「四」という数字は重要な意味をもって使われることが多いようで、四天王などもその一つ。仏教世界の四方(東西南北)にその守護神として配置されますが、そんな一つの数字からも深遠なる宇宙観を感じさせてくれます。
 その世界の中心にそびえるとされる”須弥山”と、遠く天竺より仏教が伝わったアジアの最東端の島国のイメージを重ねてみました。
 縁起によれば善光寺秘仏の体を成すのは、はるか海中の竜宮より釈迦の十大弟子の一人”目連”が貰い受けたとされる「閻浮壇金」という金属。”エンブダゴン”と発音し、同じく海と縁の深いアトランティス伝説に登場する幻の金属”オリハルコン”を連想させて面白い。龍もまた”阿闍梨池伝説”や”飛柱記”などに登場する善光寺に縁ある霊獣として伝説の中にたびたび登場し、善光寺不思議ワールドを牽引するキャラクターとして申し分なし。
zen3.jpg
相変わらずブログも全く更新せずに何をやっていたかというと以下の如し。
一昨年から思うところあって始めた「平成絵空事百珍」。No.001〜004までは樹脂凸版なる方法を思いつき、なんとか自費自刷り制作を試みたが、この度7年に1度の好機を迎えて…というか便乗して、通しNo.005〜010の6点分を、版元・川辺書林梅田版画工房の絶大なる協力を得て、地元の古刹、国宝善光寺へのオマージュを込めて刊行の運びとなったという次第。明日より順次公開致します。もちろん予約販売受付中。
仕様:リトグラフ4色4版(刷り・梅田版画工房)/和紙・生漉自然色版画用紙)/37×27cm/6種・各エディション50部限定/シート価格(税別):15,000円
作品解説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 「一光三尊」
 一つの光背の前に中尊と脇侍の菩薩が立つ”一光三尊像”の特徴を持つ秘仏「善光寺如来」。現在我々はその姿を映すとされる、前立本尊に7年に一度まみえることかなうのみです。
 平安時代の歴史書「扶桑略記」によれば、欽明天皇13年(552年)仏教公伝とともに最初に日本に伝わった仏像がこの善光寺三尊仏だとか。この説の通りだとすると飛鳥時代、日本の仏教彫刻史上記念碑的作品であり、聖徳太子ゆかりの法隆寺「釈迦三尊像」(止利仏師)よりもさらに100年ほど古く伝わっていることになります。確かに中尊阿弥陀仏の左手は、人差し指と中指のみを下げて伸ばす「刀印」で飛鳥・白鳳時代の特徴。法隆寺仏とも合致していてとても珍しいもの。
 ことの真相は歴史学者に任せるにしても、遠く天竺より百済を経てこの国に伝わった最古の仏像がこの信州に今も在るとされ、その本来の姿を心に想像しつつ、三国伝来の時より1500年を越えて今なお多くの信仰を集め続けている不思議な力を感じざるを得ません。
 本堂背後の光背には秘仏をイメージして中尊の「刀印」と「施無畏印」のみ。さらに脇侍の観音菩薩と至勢菩薩それぞれを表すとされる梵字にて表現してみました。
zen1.jpg
作品解説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「定額山」
 善光寺の山号「定額山」は表参道より境内に入って最初の門「仁王門」にその額面をいただく。参拝者を最初に迎える仁王は”二王”からの変化。正しくは金剛力士像。ことの始まりと終わりを現す阿吽の形相で睨みを効かせる、いわゆるお寺の入口の定番的仏教彫刻です。
 かの伝説的仏師集団慶派の祖、運慶・快慶による東大寺南大門の金剛力士像はあまりにも有名ですが、その規模の差はあるものの、彫刻的クオリティーは決して引けをとらない傑作と以前から一目置いていました。それもそのはず、作者は美術の教科書などでおなじみ「老猿」の作者で明治期を代表する木彫家・高村光雲とその弟子の米原雲海。秘仏であるご本尊の歴史的カリスマ性には及ばずとも、血管が浮き立つほどに全身に力をみなぎらせ、諸悪を排除しようと敢然と立ち向かわんとする凛々しきお姿には、恍惚的な癒しさえ感じます。
 門をくぐって2体の裏側にそれぞれもう1体づつ、北面に向かって安置されている同作者の彫像に目を止める人は少ないでしょう。本堂に向かって右が「三面荒神」、左が「三面大黒」。北側で自然光が入らないので、よほど目を凝らさないとその全体像は把握できませんが、それぞれ三面六臂の威容なお姿、こちらもまた秀作まちがいなし。
zen2.jpg

irodaori-é

irodori09.jpg

あっという間に睦月も後半に…。ぼちぼちやろかと再開したブログだが、いくらなんでもぼちぼちすぎでしょ。このペースだと年間24回ほどの更新に落ち着いてしまう。もう少しヤル気だそ。取り急ぎ以下次回展覧会情報。
2/15(日)〜3/15(日)1:00pmころ〜8:00pmころ
会場:irodoriya./東京都渋谷区円山町14-11ニューライオンズ渋谷102
/東京都渋谷区円山町14-11ニューライオンズ渋谷102
TEL03-3462-2321(会期中のお休み:毎週月曜日+2/17・3/3)
「なかむらじんの彩り絵-irodori.e」
*古典でポップ。ありそでなさそな不思議色絵陶磁器。
テーマはエセ古伊万里をつくろう!…ですね。
今回は特別出品で”ハチ公”にちなんで昨年秋、野焼きで作ったシーサーくんもお目見えです。

Start!

nenga.jpg

今年もいよいよスタートです。年の初めにオリジナルカレンダーを作ってみた。A2サイズで1年間の暦とスケジュールが12行で見わたせるタイプ。既にフィックスしてある展覧会も色帯にしてレイアウトしたりしてなかなか良し。そういえば子どもの頃は夏休みの計画表などをきちんと色分けして作ったりするのが大好きでありました。実際にその通りにしたかどうかは覚えてないが、たぶん計画通りにはならなかったんだろうな。さて、さっそくですが年はじめの展覧会です。
面白初笑展2009 なかむらじん「平成絵空事百珍」
1/9(金)〜25(日)10:00am〜7:00pm(最終日5時まで)
会場:アッシュアール/長野市南千歳1-10-6 藤栄ビル1F
TEL026-291-6700(1/15・22定休)
40cmφの円形陶板と昨年から100種制作を目標に始めた版画「平成絵空事百珍」シリーズの展示です。お近くの方是非お出かけください。

うやむやな情報

所用が重なり中1日おいて都内2往復。内、いくつか紹介。
◎お誘いをいただいたので、友人の画家・小山利枝子氏が参加している「未来を担う美術家たち DOMANI・明日展2008」(国立新美術館)へ。実は国立新美術館は初めてだったのでいい機会だとも思って。なんか中に比べると外観が以外と小さい。◎「吉本由加利版画展」(リブレ/文京区根津2-29-4)久々にツボにはまった。作家もギャラリーも現在オフィシャルサイトがなく紹介できずに残念。◎来年2月に展覧会をしますirodoriyaさんにてみつけちゃった「動物新聞」B4両面絶妙な掛け合わせ2色刷り、40円也。流れ星食堂トラネコボンボンという人(ところ?)が絡んでるらしい…でも結局よくわかんない。これもサイトがない。でもどっちもデジタル画像じゃ魅力の半分も伝わらないだろうからそれでいいんだきっと。