Jin Nakamura log

Bad News

昨日あんなこと書いちゃったもんだから20℃も下がっちまった。なので散歩も昨日の3倍の速さで歩く。おかげで息は切れるし気道に冷気がなだれこみしんどかったー…というわけで冬はもう少し続くらしい。

さて、なにがBad Newsかというと発端はコイツ。基本的に彼女「小丸」(♀なのにボウイッシュな名前でしょ)は仕事場出入り禁止なのである。理由は一つ。筆に欲情?ちがうか…とにかくあのワサワサしたものに野生の血がさわぐらしいのだ。そりゃそうだ、その手のもは大概タヌキやらイタチやらとにかくネコ科のやつらにゃ素通りできない素材でできている。

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そして先日ヤツは姿をくらました。家猫なので外にはいない。しばらく探したあげくイヤ〜ンな予感がして仕事場に戻ってみるといつの間にか入り込んでいたらしく、すでに理性のかけらもない(もともとあんまりないけど)彼女の姿が…そして口元には細い棒のようなもの。

というわけでその日、僕は所有する筆の中で一番大切にしていた「土生天祥堂特大面相筆黒軸」を失った。正確に言うと筆部分の1/3(長さではなく量)を失った。小動物の唾液にまみれてクタってなった穂先を見つめて不覚にもう少しで涙がでるところであった。いやもう頬をつたっていたかもしれない。一瞬思いっきり虐待してやろうかとも思ったが、彼女に嫌われるのもいやなのでそこはグッと我慢の大人な対応。あ”−カワイイってのはずるいよねー!

というわけで済んだことはしかたなし、僕は切り替えが(アキラメとも言う)が早いのだ。買えばいいじゃん!(とはいってもこの筆は初めて師匠にいただいたホント大切な筆だったのです)と、お金ですべてを解決する方向に走ることにした。

本当のBad Newsはココから…。数日前所用日帰りで上京したおり、合間を見てiphone/Googleマップ片手に目指すは西武池袋線東長崎下車徒歩8分の老舗・土生天祥堂。が、Googleマップはすでに設定ポイントに到着してるといってるのにらしきモノが見当たらない。TELしてみると「現在使われいません…」て。近くのタバコ屋(いまどき珍しくない?)のおばちゃん(これもなんかいかにもって感じで)に問うてみると。「あ〜、よくみえるんですよ、そういう方…2年前にね(あ”ーその先ききたくない〜!)おやめになって…」

というわけで、不覚にもまた頬を濡らしそうになった。

僕は弘法ではないけれど筆を選ぶのだ!…いや弘法ではないから筆を選ぶのか…とにかくこの瞬間もう未来永劫あの筆で描くことはできなくなったわけで、チクショー(猫だからあたりまえか)!!! 戻ったら如何にして虐待してやろーかと思案しつつふと思うに、こうやって日本の貴重な職人技が姿を消すのかと、この現実に残念なことこの上なし。きっと今までは筆職人を画家が育て、画家をコレクターが育て…作る人も、描く人も、買う人もお互いに切瑳琢磨してすばらしい日本の文化を残してきたのだろうな…みんなーARTを買ってくれよー!と心の中で叫びつつトボトボ(このときほどこのオノマトペがしっくりいている自分はいないだろう)むなしく帰参。

後日そうは言ってもと残り2/3の筆で描いてみると、まあなんとなく描けなくはない…が、細くなっちまったんでやっぱコシがないな〜。

*写真はヤツの犯行現場の証拠写真なり。訴えてヤル〜!

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