感想文
- By jin
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- On 12 12月 | '2011
「阿弥陀仏」を礼拝するお寺が1つの舞台になっているので、著者の「僧侶」という経歴は宗派としては真宗系なのかなと推測されるが、登場人物の浄鑑という住職(著者自身なのかもだが)はかなりクールな宗教観を保つタイプ…言い方を変えれば日本的仏教というよりはインドで産声を上げた原始仏教に近い感覚を持つ宗教家として描こうとしているようだ。ホラーサスペンスという設定上、起こりうる超常現象をいちいち釈迦の「無記」の思想(死後の世界があるかとか、魂はあるのか…ということにつて何も語らなかった…というようなことですね)に時にストイックなほどに寄り添い、でも真摯に対処しようとする姿勢を貫く。しかも自分の納めてきた宗派…おおざっぱに言うと「顕教」の理念に添って。中坊のころからの密教好きにとっては、そのあたりは実はとても新鮮であった。魔を折伏させるために護摩を焚き、印を結び、真言を唱える…というような密教的な所作はいかにもサイエンスフィクションでカッコいいので多くの作家がそうしたエッセンスをわりと安易に筋書きに取り込む例は多いが、そういう意味では比較的地味な「顕教」をベースにしてるところが、その日常というか生活感かえってリアルな怖さを醸しているような。「密教」はSF、「顕教」はホラー…とういうところか。以上ずいぶんマニアックなところにひっかかった読書感想文でした。しかしこれではまったく内容がわからないので詳細は書評を→「アミダサマ」沼田まほかる・著(新潮社)
*先日、本焼きした酒器(ぐい呑み)の上絵付け作業がやっとおわり夕方から上絵焼成(800℃弱)に入る。明日未明には予定温度に達する。15日くらいには展覧会場に発送できるか。