「楽しい器展」ご報告
- By jin
- In art exhibition shop
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- On 27 10月 | '2016
先に紹介しました「楽しい器展」(日本橋高島屋)無事終了いたしました。
このようなデパートでの展覧会は企画展作家の一作家としての参加などは毎年ささやかに継続させていただいたりしてますが、二人展というカタチながら個人名を冠した展覧会は実は始めてでして、どことなくアンダーグラウンドな性分での展開が身に付いてるせいか、キレイなエレベーター嬢がわんさかわんさかお客様を目の前までお連れしてきてくれる(実際会場はそういう場所でした)ような晴れやかな場所ではまことに恐縮というか、こんな芸風いいんでしょうかココで…などとコソコソしたところで隠れる場所もなく、日々どこかぎこちない所作で接客(のようなモノ)をさせていただいた次第であります。
実際作家などというものはモノを生み出すのはまあある程度はできるわけですが、それを売る行為となるとまったく成す術無し…などということはママありがちで、しかし粗大ゴミ作ってるわけではないし、自身をもって生み出しているのであれば最後まで責任もって誰かにお届けするという作業までホントは必要でしょ、と予々思ってもおりますもので。そういう観点ではとても良い社会勉強になりました。
こと陶器の仕事についてはどうせ独学だし(ま、他の仕事もほとんどそうなんだけど)未だにロクロ同じ大きさに引けないし、ヘンな絵そこら中に描いてあるし、オーガニックでもロハスでもないし、エコっぽくもないし、しんぷるいずべすとでもないし、コテコテだし…と、だからたぶん超マニアックな方々のみの御用達と達観し、たいした野望もなく、ちょっとしたスキマにでも入り込めればいいやというような気分で実際ささやかに制作しているわけですが、さすがにそこは日本橋。老舗の百貨店でございます。老若男女しかも多国籍不特定多数の方々目の前を通り過ぎれば、そりゃあなかには派手な食虫植物に惹かれるように不覚にもムム…っと立ち止まってしまう有り難いカスタマーもいらっしゃるというもの。
いまはなき高島屋ニューヨーク支店をふと懐かしがってふらっと立ち寄ってしまったツーリストの米国人ご家族もそんな方々の内。長男のマグカップお二つ即決から始まりパパママそれぞれお隣亜細亜の大国な方々並のご購入(…で、べつにここを自慢したいわけではないのです)最後にママが頭を抱えて「どうしよー…こんなに買っちゃって〜(半泣)…でも、アートだからイイのよね!」と自分に言い聞かせてカード決済。
ナカムラはちっとだけ感動しました。「アートだからいい」「アートだから許してもらえる(←誰にかはわからんけど)」
日本人はまず言わないセリフだなー。もちろん自分は器をアートだと思って作ってはいません。先にも書きましたがそのようにしか作れないからそうなっているだけなのです。でもなんかうれしい。
実はここ数年、自分が作家として一番最終的に取り組んでみたいテーマが見つかったこともあり、陶器の仕事は縮小していこうと思っていたのです。生き抜くためだったりチャレンジのためだったりで広げに広げた引き出しを大切な一つのために凝縮させていこうと考えたのです。それは自分の心のつぶやきであって特に公言したつもりはなかったのだけれど昨年久しぶりに個展を見に来ていただいたギャラリーの方に「もう器はやらないのですか?」と問われ、この時もちょっと心がうごきました。前言撤回(こういところが節操がない)。モノヅクリを生業にしているものにとってなんというありがたいお言葉と。
オファーがあったらごちゃごちゃ言ってないで作りゃあいいじゃん!
とは言っても50半ばを過ぎたオッサンです。力まかせで無尽蔵には作れません。たくさんは作れないかもしれませんが自分が納得いくもの、手元に置いていただく方々に恥ずかしくないものを1点でも多く残していけたらいいなと思った日本橋の一週間でした。
今回のご縁をいただいた全ての方々に感謝!