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桃山

blogで茶の湯や骨董の話を書いていたら「桃山」あたりのことが急に気になりだして、以前から気になっていた「へうげもの」…ついに手を出す。話題には上ってることは知っていたが、古田織部が主人公ってかなりマニアックだし、探して見つからなかったらお店の人に聞けばいいや…って思ってたらいきなりTSUTAYAのコミック本コーナー入口に特集で山積み。となりのONE PIECE平積みコーナーは理解できるが、古田織部がなんでこんなに一般的にフィーチャーされるのかな。高3のムスコもさすがに数ページで投げ出した。それが若者の正しい反応だと思う。ヤツがついて来れるのは「テルマエロマエ」か「聖・おにいさん」までだろう。「基礎知識がないと読めないのさと」と上から目線で揶揄すると「信長の黒人の側近名前を知っているか」と張り合ってきたので無視することにした。そうは言っても面白くなかったらイヤなのでお試しに2冊だけ買い、その後レンタルコーナーでこちらも以前から聞きたかった2004年に限定販売でリリースされた中島美嘉のミニアルバム「朧月夜〜祈り」を借りて帰る。

現代作家茶碗特集

表題の企画展(2011,8/17〜30 日本橋三越本店6F美術工芸サロン・アートスクエア)参加依頼あり。現代陶芸界で活躍される35名の諸先生方の末席に加えささせてもらう。しかもテーマは「茶碗」、だいじょうぶかな…。チト不安もあるが楽しみなお題でもある。

以前岐阜の画廊から僕のサイトをみて展覧会のオファーをいただいたことがあった。どうやら“エセ古伊万里的芸風”が大層気に入ってもらったらしい。わざわざ長野まで出向いていただき、初対面の折りいろいろ話を伺っているとオーナーは業界ではかなり名を馳せた骨董商であり、また茶人でもあった。一時は国の無形文化財有資格者でもあった高名な陶芸家・加藤唐九郎を招いた茶会なども主催した御仁であるという。加藤の名と茶会と聞いて一冊の本を思い出した。季刊「銀花」61号・特集◎唐九郎のいる茶会(1985刊)。この特集記事に青年時代の画廊主が唐九郎と席を同じくしている写真が載っている。そしてたまたま僕はその本を持っていた。岐阜は茶の盛んな場所である、加えてオーナーもかような茶人である…さらに中途半端に茶の湯にも興味もあり…で、無謀にも(今思うと汗)個展用の作品のなかにいつくか「茶碗(少なくとも本人はそう思って作った)」を入れて岐阜に発送したのだ。

結局それらの“茶碗のようなモノ”はすべてバックヤードにしまわれ会期中展示されることはなかった。「呑み終わったあとの見込みの景色が美しくない」というのが理由だったと記憶している。朝鮮半島で日常雑器として焼かれていた「井戸茶碗」の如きを茶人は「わび」の美意識をもって見立てる世界。少々乱暴な言い方をすれば、どんなモノでも凹んでさえいれば多少のことは目をつむって後は茶人なる方々がなんとか見立ててくれるのだろう…などと思っていたフシがあったかもしれない。

ナカムラくんは「茶碗」なんかつくらなくていいよ…と言われ、その場で主(あるじ)自らの手で李朝の平茶碗にてさらっと立ててもらい、僕は無作法なしぐさでお茶をいただいた。5年前の話である。

さて、ホンモノの茶人に「つくらなくていいよ…」と言われたが依頼が来てしまったのだから仕方がない。あれから5年が経った。この件に関してなんの進歩があったかと問われればまったく心もとない。とりあえず「見込み」らしきものはつくろう。あとはやっぱりつくりたいようにつくろうと思う。そして恥をかいたらまたそのとき考える。楽しみである。